RCI、横浜発着クルーズ中止も振替え客は「予想以上」−秋の需要回復に期待

  • 2011年4月7日
 ロイヤル・カリビアン・インターナショナル(RCI)は3月29日、4月から5月にかけて予定していた、レジェンド・オブ・ザ・シーズの日本寄港、横浜発着クルーズの中止を決めた。3月11日の東日本大震災発生に加え、福島原子力発電所の事故が発生したことで、顧客と乗組員の安全や快適なクルーズを保証できないと判断した。一方、RCI日本総代理店を務めるミキ・ツーリスト・クルーズセンター営業係長の糸川雄介氏によると、「地震後1、2週間で発生したキャンセルは10%から15%程度」だったうえ、中止決定後に提案したシンガポール発着クルーズへの振り替えも発生していることから、購買意欲の強い客層が予約していたととらえており、夏から秋にかけての需要回復に期待を示した。

 今回中止したのは、4月30日、5月8日、16日に出発する横浜発着クルーズと、4月23日出発の上海/横浜クルーズ、5月24日出発の横浜/上海クルーズ。すでに支払われたクルーズ代金、港湾税、諸税、チップは全額返金する。レジェンド・オブ・ザ・シーズは航路を変更し、5月はシンガポール発着クルーズを実施することとなった。そこで、シンガポール発着クルーズを案内したところ、申込み客全体の5%にあたる約300人が申し込んでいるという。もともとのクルーズ代金を値頃感のある価格に設定した上、販売する旅行会社がシンガポールまでの航空券とパッケージ化して提案したこともあり「予想以上の申込みだった」と述べる。また、ある旅行会社では申込み客700人のうち、シンガポール発着へ100名、それ以外のクルーズへ30人が振り替えているという。

 地震発生直前までの予約状況は「満船状態の約6000名弱」(横浜発着クルーズ3本と前後のクルーズ2本)で、そのうち20%から30%が新規顧客が占めるなど、販売は堅調だった。地震発生直後に発生したキャンセルも、3本設定した横浜発着クルーズのうちキャンセルチャージのかからない5月16日出発分がほとんどで、他の2本は「そこまで落ちなかった」という。糸川氏は、「震災直後に予約が残っていた状況を見ると、船さえくればマーケットを広げていけるのではと思っている」と話す。振り替え状況からも、「(クルーズ顧客は)商材とのマッチングができており、ゆさぶられない客層」との認識だ。今回中止になったことで、「行きたくてもいけない人が夏から秋にかけてリバウンドして戻るのではないか」と年間でもっとも取扱人数の多い10月、11月の販売に向けて期待する。

 ミキ・ツーリストでは、期待以上の反応があった代替案のシンガポール発着商品を足掛かりに、目玉商品などを投入するリカバリーキャンペーンの実施も検討中だ。また、クルーズプラネットやクラブツーリズムなどでも予想より多く振り替えが発生していることから、今週から来週にかけて新聞広告を打つ計画もあり、クルーズ業界では秋に向けて少しずつ動きが出てきそうだ。


※訂正案内(編集部 2011年3月31日 19時30分)
訂正箇所:2段落目最終文
誤:それ以外のクルーズへ300人が振り替えているという。

正:それ以外のクルーズへ30人が振り替えているという。

訂正箇所:3段落目第1文
誤:地震発生直前までの予約状況は「満船状態の約6000名弱」(横浜発着クルーズ3本)

正:地震発生直前までの予約状況は「満船状態の約6000名弱」(横浜発着クルーズ3本と前後のクルーズ2本)