KNT、10年度12月期決算は4期ぶりに黒字転換−年金制度見直しや店舗統廃合で

  • 2011年2月21日
 近畿日本ツーリスト(KNT)の2010年度12月期(2010年1月1日〜12月31日)の連結業績は、営業収益が前年比1.2%減の635億4400万円、営業利益は16億3600万円(前年:33億3900万円の営業損失)と3期ぶりに黒字化した。経常利益は15億7100万円(前年:28億9100万円の経常損失)で、当期純利益は3億1400万円(前年:84億3300万円の純損失)となり、4期ぶりの最終黒字となった。2010年度に実施した年金制度改革による効果や、不採算店舗の閉鎖による固定費用の削減などが奏功した。

 年金制度改革は昨年6月に実施したもの。KNT常務取締役経理部長の遠藤昭夫氏は、「20億円強の費用削減額となる予定で、その半分の10億円が2010年度、残りの半分が2011年度にきいてくる」とし、今年度も10億円のコスト削減を見込む。また、個人旅行事業では不採算店舗71店舗を閉鎖し経営効率を高めるとともにウェブ販売を強化した。

 このほか、「平城遷都1300年祭」の運営を受託するとともに関西方面商品の販売に注力。団体旅行事業では、「バンクーバー冬季オリンピック」の応援ツアーや「FIFAワールドカップ南アフリカ大会」の企業招待旅行を取り扱いに努めたほか、訪日事業では上海に近畿国際旅行社有限公司の支店を、タイと香港には現地法人を設立し訪日旅行受入会社として「KNT ASIA」も立ち上げていた。

 なお、旅行業の営業収益は1.0%増の623億6800万円、営業利益は22億6200万円、営業費用は6.8%減の601億500万円であった。


▽2011年12月期業績で純利益6倍の22億円へ

 2011年度12月期予想は、営業収益が2.8%増の653億円、営業利益が46.7%増の24億円、経常利益が65.5%増の26億円、純利益が599.4%増の22億円。KNTでは、今年1月に個人旅行事業本部カンパニーを立ち上げており、個人旅行事業の戦略立案や仕入れ、企画、販売に至るまで実行機能の強化をはかったところ。特にウェブ販売拡大をめざし、ウェブ専用商品の拡充により270億円(前年:180億円)の取扱高をめざす。一方、店舗の整理は一旦完了したとの判断。現時点でKNTツーリスト店舗が195店舗、KNT店舗が160店舗となっている。今後の店舗展開について具体的な計画はなく、需要動向を見極めながら取り組むという。

 また、KNT執行役員経営戦略本部経営戦略部長の加藤真人氏は、海外旅行事業において航空座席仕入れが厳しくなっている状況と指摘。「成田、羽田といった首都圏に(航空座席の供給が)集中し、地方は減少している」とし、「チャーターの展開などにより仕入れを確保し収益を獲得していく」と話した。

 このほか、団体旅行事業では、法然上人800年、親鸞聖人750年といった遠忌法要の参拝旅行で取扱高65億円の達成を掲げている。訪日事業においては新設した支店や現地法人などと連携し、現地での営業拡大、日本での受入体制強化をはかっていく。


※訂正案内(編集部 2011年2月22日 10時10分)
訂正箇所:1段落目第1文
誤:営業利益は16億2600万円

正:営業利益は16億3600万円