現地レポート:団塊世代に訴求するボストン周辺の魅力

  • 2007年5月31日
知的好奇心の旺盛な団塊世代へ
訴求力を秘めたボストン周辺の魅力


〜歴史、文学、芸術――“憧れ”を巡る旅〜

松坂大輔投手のボストン・レッドソックス入団で、テレビや新聞にしばしば取り上げられるようになったボストンは、各社がてこ入れを進めるアメリカ方面の中で、今年一押しのデスティネーションになるに違いない。紅葉などの景色はもちろん、歴史や文学、音楽や芸術面でも、奥深い訴求力がある。特に「若草物語」に憧れて少女時代を過ごしたり、クラシック音楽に目覚めた団塊の世代へ向けての商品にはもってこいだ。野球観戦とともに、滞在だからこそ楽しめるボストンの魅力を探った。


滞在の基点・ボストン

団塊世代にも攻めたい“メジャー”の切り口

今年、ボストンのツアーを作るなら、松坂選手の活躍が期待されるメジャーリーグ観戦は欠かせない。団塊世代のツアーにも、野球観戦の切り口は必ず取り入れたいものだ。

1912年に建てられたボストン・レッドソックスのホームグラウンド、フェンウェイ・パーク球場は、古き良き時代のベースボールの雰囲気を色濃く残しており、アメリカらしい野球を楽しむにはベストの場所だ。試合中は保守的と言われるボストンっ子のイメージからは想像できないほど熱い応援が繰り広げられ、まさに“本場”を体感できる。ツアーを組むなら、観戦のお供として球場名物のホットドックとアイスクリームをぜひ含めたい。

シーズン中は年間300万人もの観客が訪れるフェンウェイには、スポーツ用品やレッド・ソックスのロゴショップ、スポーツバーなども並び、野球場の外にも野球関連の楽しみがいっぱい。また、この周辺はノース・イースタン大学やボストン大学など、大小の大学やカレッジなどが集まっており、学生街らしい活気に満ちている。ボストン美術館やボストン交響楽団のシンフォニー・ホールのほか、おしゃれなブティックやレストランが増えている注目のケンモア・スクエアもあり、落ち着いた雰囲気の街の散策も勧めたいポイントだ。

「フリーダム・トレイル」をもう一度見直そう

ボストンは「歩く街」だ。数ブロック先へ行くのでさえ車を使うと言われるアメリカ人も、ボストン観光ではひたすら歩く。ダウンタウンを中心にアメリカの独立革命の様々なエピソードを持つ史跡が点在しており、これらの史跡をたどって歩くルートが「フリーダム・トレイル」と呼ばれる国定史跡となっている。

トレイル沿いの歩道には赤い線が引かれ、観光客の多くが地図や歴史解説書を片手におよそ4キロの道のりを歩いていく。汗が流れる真夏でも、雪の降る真冬でも、まるで巡礼のように歩く人々が絶えない。この姿を見ていると、アメリカ人にとっての「独立革命」の意味が胸に迫ってくるほどだ。

フリーダム・トレイルはボストン市内観光の最重要ポイントなので、現在販売されているツアーにも、必ず加えられている。しかし、ニューヨークなどからの「日帰りツアー」では、ボストン虐殺事件の舞台になった旧州議事堂、サミュエル・アダムスなどの墓があるグラナリー墓地、キングズ礼拝堂などを車窓から眺め、ファニエル・ホールで下車して、ショッピングや食事といった「さわり」の紹介をするだけで、精一杯といえるだろう。これではせっかくの素材を生かし切ることはむずかしい。

フリーダム・トレイルは、やはり歩いてこそ「歴史を体感する旅」の付加価値を高めることができるだろう。アメリカ革命のプロセスは、きちんとした歴史の知識があればきわめてドラマチック。国定史跡なので、史跡保護官を招いてフリーダム・トレイルの概要や歴史背景などを語ってもらえば、日本人にとっても興味深いものになるはずだ。アメリカ革命前後の歴史をおさらいする事前のワークショップなどを提供し、現地での旅行をより充実させたものにする仕組みを作るのも良いだろう。

文学散歩もボストンならでは

ボストンはアメリカ独立の歴史ばかりでなく、アメリカ文学の「揺りかご」としても重要な役割を果たしてきた。19世紀のボストンは、アメリカの富の中心地として成長しており、女性の権利拡張運動をはじめとする社会運動が活発な場所でもあった。哲学や文学を愛する人々も多く「アメリカ文学の黄金時代」がこの街で花開いたのだ。ボストンの「アメリカのアテネ」や「太陽系の中心」という大げさなニックネームも、この街の文化的活気を物語っている。

しかしながら、ロングフェローやオルコットなどが住んでいたビーコンヒルの住宅街は、今もほとんど変わらない姿でダウンタウンに残っている。彼らが小説の構想を練りながら歩いたであろう、18世紀の石畳は今にも馬車が走って来るような雰囲気だ。ヘンリー・ロングフェローやラルフ・エマーソンが文学論を戦わせたサロンも営業を続けている。アメリカ文学に心躍らせて青春時代を過ごした世代にとって、「文学散歩」は魅力的な旅の素材になるだろう。

ボストンのダウンタウンで手軽にできる「文学散策」のモデルコースを一部、紹介する。ここに取り上げた場所は、日本人向けの市内観光ルートで巡るエリアとほとんど同じだが、切り口を少し変えるだけで、「滞在型」の旅、学校などの研修旅行といった旅のコースとしても応用可能だ。
(モデルコースはコチラ

「ネーバーフッド」で奥行きを

「ネーバーフッド」とは「ご近所」とでもいうような言葉。それぞれエリアによって独特の雰囲気があり、ご近所めぐりの楽しさも見逃せない。例えば、イタリア人街として知られるノース・エンドは、17世紀末から18世紀の建物がたくさん残されており、ポール・リベアの家など「フリーダム・トレイル」のルートとしても興味深い。さらにこのエリアは、ケネディ家の歴史とも深いつながりがあり、この切り口で紹介することもできる。

ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学のあるケンブリッジは、多くの日本人向けツアーの場合、ハーバード大学の構内を30分ほど散策する程度。しかし、ここには規模は大きくないものの、意欲的な企画展を催す美術館やユニークな所蔵品で知られる博物館がたくさんある。このエリアに宿泊し、半日ゆったりと「学生気分」を味わってもらえるよう設定すれば、映画「ある愛の詩」に憧れた世代への訴求効果も期待できるだろう。

この他にも、高級ブランドショップが集まるバックベイや、ニューイングランド水族館やホエール・ウォッチングの船が発着するセントラル・ワーフ周辺、シアター街、チャイナタウン、海軍造船所跡やフリーダム・トレイルの終着点、バンカーヒル独立戦争記念碑のあるチャールズタウンなど、魅力のあるネーバーフッドがたくさんある。


郊外への小旅行・コンコード&レキシントン

定番にプラスαで付加価値を

ボストンの魅力の一つは、ここを基点にして、変化に富んだオプショナルツアーを企画できること。秋の紅葉はもちろん、魔女の街として知られるセーラム、大富豪の豪奢な邸宅が集まるニューポート、ケネディ一族の愛したマーサズ・ビンヤードなど、様々な組み合わせが可能だ。

現在、販売されているツアーも、ほんの少し時間や人材を投入するだけで、ぐっと新鮮味が増してくる。例えば、オプショナルツアーの定番・レキシントンとコンコードは、紅葉見物と史跡を巡る駆け足のツアーが中心。しかしここは、アメリカ独立革命に関連する最も重要な史跡として、2つのコミュニティにまたがり「ミニットマン国定歴史公園」が指定されている。独立革命の歴史とこの地域の関係を掘り下げて説明するだけで、一味違ったツアーになるはずだ。

例えば、単にコンコードの「ノースブリッジ」を渡っても、小さな橋の向こうに草原が広がっているだけだ。しかし、1775年にこの橋で起きた、イギリス軍とミニットマンと呼ばれる農兵との武力衝突が、その後7年間続いた「アメリカ独立革命」の第一歩だったことをじっくりと語ることのできるガイドをつければ、この「橋」が一気に意味を持ってくる。この山野を舞台にどんな「ゲリラ戦」を展開したのか、数の上では圧倒的に上回っていたイギリス軍をなぜ撃退することができたのか、など深みのある解説ができれば、ただの村の風景もとたんに生き生きした「歴史が動いた」舞台に変身する。

なお、レキシントンへはボストンから車で30分ほど。レキシントンとコンコードの間は10キロほどだが、直接結ぶ公共交通機関はないので、レンタカーなどをしない限りツアーに参加するしか交通手段がないことも、追記したい。

「若草物語」の舞台として

この2 つのエリアは「文学散策」の場所としても非常に訴求力の高い場所。コンコード博物館は規模こそ小さいが、ここに住んでいた文学者や思想家の詳細な資料が残されている。この博物館と同じレキシントン通り沿いには、国定史跡にも指定されているウエイサイドがある。

「若草物語」の舞台として知られるオーチャード・ハウスも、ウエイサイドのすぐ近く。「若草物語」は小説としてだけではなく、映画やテレビ、アニメとして、世代を超えて愛された物語。「赤毛のアン」の「グリーンゲイブルズ」と同じように、このオーチャード・ハウスは“旅行素材”として大きな可能性を持っているにもかかわらず、商品として確立されているわけでもない。しかし、物語の舞台を彷彿させるような家具も残されており、周辺の風景も紅葉や若葉のころはとても叙情的で美しい。ギフトショップで売られている、「若草物語」をテーマにしたグッズも、上質で愛らしいものが多い。

ホーソーンやオルコット姉妹の眠る、スリーピング・ホロー墓地やヘンリー・ディビット・ソローの「ウォールデン、森の生活」に登場するウォールデンの池を加えるのも一案。郊外の田園地帯にあるファーマーズ・マーケットに立ち寄って、オルコットやホーソーンが憧れをこめて書きつづった、“美しき田園”の暮らしに触れるのも良いだろう。




ノースウエスト航空のE チケットで旅を快適に

ノースウエスト航空は日本とアメリカを結ぶ太平洋路線のパイオニアとして長い歴史
を誇り、日本人旅客にも大きな信頼を得ている航空会社だ。機内サービスはもとより、
チェックインや乗り換えのスムーズさ、受託手荷物の扱いに至るまで、旅客への
きめ細やかな気配りが感じられる。特に、オンラインを活用したEチケットやチェック
インサービスは、画面のデザインが合理的で操作の仕方が分かりやすいと好評だ。

成田空港のセルフサービス・チェックイン機を3倍増
専用カウンターは48ヶ所に

ノースウエスト航空はこのほど、チェックイン時間を短縮
する目的で、成田空港のセルフサービス・チェックイン機
を従来の3倍以上に増設した。これにより、セルフサービ
ス・チェックイン専用カウンターは、全部で48ヶ所となり、
出発までの流れが一段と円滑さを増し、快適性の向上が
実現した。

ノースウエスト航空便にEチケットで搭乗する場合は、「NWAオンライン・チェック
イン」を利用できる。これは、インターネットを通じて、自宅やオフィスのパソコンから
簡単にチェックイン手続きができるシステムで、フライトの90日前から座席指定が
できるほか、24時間前からチェックインが可能。プリントアウトした搭乗確認書を
出発当日に空港へ持参して、セルフサービス・チェックイン機を使って手続きする
こともできる。

また、ノースウエスト航空のホームページで提供する「My NWA Info」の機能を、
日本のワールドパークス会員にも利用できるように改善した。これにより、「My NWA
 Info」に登録した会員に、オンライン・チェックインやフライト状況のお知らせなど、
自分専用の旅行情報をEメールで送信することが可能になり、一人一人にあった
サービスの提供に繋がる。

オンライン・チェックインの利用促進キャンペーンも

ノースウエスト航空は、セルフサービス・チェックインの利用環境の整備と
並行して、NWAオンライン・チェックインの利用促進にも取り組んでいる。
その一環として、9月30日までの期間中、購入した航空券による成田発のフライト
でNWA オンライン・チェックインを利用した人には、1回のチェックインにつき、
1000ワールドパークス・ボーナスマイルを加算する「NWAオンライン・チェック
イン ボーナスマイル・キャンペーン」を実施している。

このほか、利用促進の取り組みとしては先ごろ、「成田空港・新チェックイン・
セミナー」を都内で開催。オンライン・チェックインや、セルフサービス・チェック
インに関する案内冊子などを新たに制作し、これを使いながら、搭乗客の手続き
の流れを説明した。同セミナーには、旅行会社などから100名以上の参加があった。

日本からボストンへのアクセスも便利

成田や関空からボストンへ行く場合は、アメリカ国内で乗継が必要になる。
ノースウエストの場合、成田発ではデトロイト、ミネアポリス、シアトルなどで乗り換え、
関空からの場合はデトロイトまで直行し、そこから国内線に乗り換える。

ボストン空港では受託手荷物の受け渡しの手際の良さが
印象的だ。ターンテーブルはノースウエスト航空専用なので、
周辺のセキュリティも安心。荷物受け取りエリアにある受付
デスクには、数人の係員が待機しており、万一の場合にも
迅速な応対が期待できる。帰国の際も、ボストン空港の
チェックイン・カウンターは係員の数も多く、早朝便でも十分な
対応ができる体勢が整っている。

なお、ボストン空港はダウンタウンから車で30分以内の距離。
到着後すぐに市内観光を始めるにも便利だ。


(取材協力:マサチューセッツ観光局、ノースウエスト航空)
(取材:宮田麻未/ 写真:神尾明朗)