専業主婦から客室清掃へ12年、外国人スタッフ含めチームをまとめる牧仁子さん

  • 2023年10月2日

 3人の子供を育てあげ、専業主婦から客室清掃スタッフに転身した牧仁子(しんこ)さん。約12年、千葉のホテルで働いている牧さんは、チームをまとめ上げるリーダーでもある。「リーダーは苦手」と言いつつもチームスタッフをよく観察し、スタッフが気持ちよく働けるように心掛けている。客室清掃の仕事が楽しくなるかそうでないかはリーダーの存在が重要だとつくづく感じたインタビューでした。

-客室清掃のお仕事を始めて、どれくらいですか?

牧仁子さん(以下敬称省略) このホテルでしかやったことないんですけど、客室清掃を始めて12年になります。家が近いので。それと子供が3人いるんですけど、子供も大きくなり手がかからなくなって、そうすると今度は、教育費が必要になってきたんです。主人に「俺だけに頼るな」って言われまして(笑)。私も働かなければいけなくなりました。ずっと専業主婦で、若い頃は事務職だったから体力仕事は、最初は不安だったんですけど、やってみたらこっちの方が楽しいし、合ってるのかなって。

-数ある仕事の中でなぜ客室清掃の仕事を選んだんですか?

 主婦って日常的に掃除するじゃないですか。それでお金になるならラッキーかなと思って。ただ現場に入ってみると、仕事というか、百戦錬磨のようなベテランのおばさん達の中に入っていくのが大変でしたね。仕事は客室に入ったら、1人仕事で黙々とできるので、仕事は一つも苦に思ったことはないです。ただ…、人間関係がうまくいかず1度、「うー、辞めてやる!」って思ったことはありました。でも生活があるし、腹が立っていちいち辞めてたらね。今は全然、平気ですよ。立場も変わりましたし、うまくやる方法も自分なりに身に付けたので。

 客室清掃の仕事は本当に好きで、お客様が汚した部屋を綺麗な部屋に戻す作業が好きなのかもしれません。汚れていれば汚れるほど、腕がなるじゃないですけど、燃えてくる?って感じです。

-一部屋って大体どれくらいで仕上げるんですか?

 もちろん部屋の大きさにもよりますけど、そこまで大汚れしていなかったらツインならば約30分、シングルなら約25分位ですかね。ベッドメイクでは経験値の違いがでて、ベテランと新人では時間差がでるかもしれません。お風呂やトイレは、どこまでやるかがポイントになってきます。ホテルも建てて、何十年も経つと設備も古くなり、「この汚れは落ちる汚れ?」「落ちない汚れ?」という判断が新人の子ではなかなか難しい。例えば、新人の子に「この便器の汚れはどこまで落とせばいいか」と聞かれたりします。カビもパッキンに入り込んだやつはパッキンを削らないと駄目なものもありますし。ただお客様に「ここ汚いよ」ってクレームが入ったら、ガリガリ削って落とすしかないんですけどね。施設が古いのでと言い訳もできないですし。もちろん磨けば落ちる汚れを落としてなかったら、「申しわけありません!」って謝りますけどね。

 連泊のお客様の清掃はいろいろ悩むことが多いですね。その人の生活が垣間見えたりするので。例えば、ぬいぐるみを布団に寝かせて、少し顔を出したりしているんですよ。ベッドメイクの時に、「このぬいぐるみはどかしておいていいものか」とか悩んだりして。結局、綺麗に寝かせておこうと。やりすぎもいけないんですが、こういう時はお客様のことを思って対応しますね。

-やっぱり家でもそこまでこだわって掃除されるんですか?

 家?家ですか?家でもやってるって思うでしょ。水回りは神経質なくらいやるんですけど、あとは汚いです。はははは、仕事じゃないんで(笑)。子供3人と主人がいたら物が多いのはしょうがないよねって。人のよべない家です。まぁ、言い訳なんですけど(笑)。