アフターコロナの体験アクティビティ予約に見出す勝機-KKdayグループ日本支社長 大淵公晴氏

  • 2022年9月1日

インバウンド、海外、国内でナンバーワンを目指す

 アジア最大級のオプショナルツアー予約サイトを運営する台湾発の旅行系ベンチャー企業、KKday(ケイケイデイ)グループが日本でのビジネス拡大を本格化している。グループ日本支社長を務める大淵公晴氏は、国内体験型アクティビティ予約サービス「アクティビティジャパン」を創業した人物。コロナ禍後の体験アクティビティ市場の展望と、その攻略方法とは。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)

大淵氏

-これまでのキャリアと旅行ビジネスとの関わりを教えてください。

大淵公晴氏(以下敬称略) もともと私はモバイルコンテンツ関連のベンチャー企業でビジネスキャリアをスタートしたITシステム畑の人間です。2010年前後はITベンチャーがイケイケの時代で、私はBtoB向けのITソリューション事業を担当し、ネット証券をはじめとする金融系や人材系、ゲーム会社等の幅広い業種の案件を手掛けました。その後、2014年に立ち上げたのが国内体験型アクティビティ予約サービスのアクティビティジャパンです。

-ITシステム畑出身の大淵さんがアクティビティジャパンを立ち上げたきっかけは。

大淵 妻の郷里が奄美群島で、沖永良部島で洞窟体験(ケービング)のアクティビティを催行していた親戚から販売を増やすにはどうしたらいいか相談を受けました。当時の一般的な方法は旅行雑誌に情報を掲載することでしたが、大手ダイビングショップならともかく、多くのアクティビティ事業者は農業や漁業を兼業する零細な個人事業者です。掲載料を払えるほどの規模はなく有効な方法が見出せませんでした。そんな経験からアクティビティ事業者が無料で参加できる情報掲載サイトを作れば面白いと思ったのが始まりです。

 東京オリンピック開催が決まりインバウンドのさらなる増加も見込めた時期でしたが、旅行業界は単価の低い体験型アクティビティに興味を示す企業が少なく、今のうちにいち早くサプライヤーを押さえるべきだと判断して起業を急ぎ、2014年6月にアクティビティジャパンとしてサービスを開始しました。 

-その頃には、国内の体験型アクティビティを取り扱う競合企業もすでにあったと思いますが。

大淵 室内での体験やアウトバウンド系のアクティビティのサービスはありましたが、まだアウトドア中心のアクティビティジャパンとは競合が少なかったですね。ところが他社も徐々にアウトドア分野に進出をはじめ、我々も提携先を模索することになり、最終的にHISに出資いただき、2016年に子会社となりました。その後、経営も軌道に乗り、私自身も新たな挑戦をしたいという思いがあり、HISに経営をお任せすることにしました。

-KKdayグループに加わった経緯を教えてください。

大淵 KKday創業者の陳明明CEOとはアクティビティジャパンの時代から情報交換する関係でしたが、私は同社を退いてから旅行ビジネスを離れ、いくつかの会社で役員を務めたり会社を立ち上げたりしていました。そのなかにはライブ配信アプリを運営する17LIVE(イチナナライブ)もあり、CBOとして同社の成長に貢献できた満足感もあります。その仕事にも一区切りをつけ、次に何をやろうとかと考えているときに、アクティビティジャパンをHISと合弁会社化した陳CEOから誘いを受けました。話し合いを重ねるなかでKKdayのグローバル戦略に魅力を感じ、またアフターコロナの状況を考えると旅行業界の既存のやり方では対応していけないのではと考えました。私自身の縁も感じ、KKdayに入ってもう一度、旅行ビジネスに関わってみようと決心し、3月に日本支社長に就任しました。

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