【発行人コラム】国際航空券の発券上限が変わる、旅行会社への影響は

新たな観光産業団体に関する続報も


国際航空券の発券上限が変わる、旅行会社への影響は

 来月(9月)IATAは各認可店舗旅行会社の国際航空券CASH発券上限額を新たなロジックに基づいて一斉に変更します。

 その上限額算定ロジックを掻い摘んで説明すると以下の通りです。

 まず、IATA認可歴、必要書類の未提出、株主構成変更等々、財務状況や履歴によりリスクステータスがA・B・Cの何れかに分類される。過去1年間で最もCASH発券が多かった上位3ピリオドにおけるCASH発券総額をベースとし、その額の多寡やリスクステータス毎に設定されている係数を用いRHC(Remittance Holding Capacity)を算出。RHCに差入銀行保証等の額を加算した金額がその旅行会社のCASH発券上限額。
※詳細かつ正確な算定方法に関してはIATAに確認願います

 ここまではIATA認可店舗固有の問題なのですが、これは海外旅行を扱う全ての旅行会社に影響すると思われます。具体的には、

  • ・直販(2C)と外販(2B)を併業するIATA認可店舗のCASH発券上限額が従来よりも著しく減少した場合、直販分のみで上限額に達する可能性が有るため、外販を止める。

  • ・上限額減少に加え、航空会社からのコミッション消滅・人手不足等の理由によるIATA認可返上。

  • ・外販主体の会社でも発券上限額を意識した、総量コントロールによる受注制限。

 今後、需要の急拡大が見込まれる海外旅行ですが、航空券やホテルの値上げや円安、人手不足とは別の障害となる可能性が否めません。潤沢な資金力があれば、いかようにでも対応可能ですが、そういう会社は極少数でしょう。そうでは無い会社が取れる手立てとしては、クレジットカードの活用や代金回収タームの短縮、顧客から頂戴する手数料の適正化等になると思われ、それらを実施・実現出来る会社が、優位になるような気がします。

新たな観光産業団体に関する続報

 先月の当コラムでお伝えした、新たな観光産業団体「観光産業を構成する中小及び個人事業主連合会(TIFS)」ですが、お陰様で多数の参加申込、お問い合わせを頂いております。

 その中に「中小に当てはまらない旅行会社の従業員だけど入会したい」「OB/OGだけど応援したい」と言うようなお申し出を多く頂戴したため、新たに「準会員(会費無料)」制度を設定し、より多くの方々に参画していただけるようになりましたので、是非ご入会をご検討ください。
※詳細はこちら

 8月末までに入会された正会員を対象に9月12日(月曜)に発起総会を開催いたします。ここで役員(会長、理事や参与等)の決定、今後の団体としての運営・活動方針及び予定等を連携するとともに、会員の意見をお聞きする場とします。
※後日、発起総会の様子・内容はトラベルビジョンにてご紹介予定

岡田直樹
㈱エフネス代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人。27歳でエフネスの前身㈱ルゥエストを創業し、32周年にあたる今年に至る。旅行素材のホールセール、観光関連企業への決済サービス提供、緊急対応代行、業界誌トラベルビジョン運営等々、主に観光産業内のB2B事業に携わる。
㈱ティ・エス・ディ代表取締役、一般社団法人インバウンドデジタルマーケティング協議会理事、㈱ミックナイン社外取締役​