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専門性で生き残る:モンゴル旅行のチンギスハーン旅行

乗馬やゲルでの宿泊に加えて、釣りや砂漠のドライブも
SCAT航空のGSA業務でカザフスタンも守備範囲に

-近年のチンギスハーン旅行の業況について教えて下さい

佐藤氏 佐藤 18年度(18年4月1日~19年3月31日)の売上高は約4億円で、営業利益と経常利益は700万円、純利益は400万円でした。売上高は、ここ数年間は約4億円で推移し、大きな変化はありません。全体の約70%が卸売りなどの航空券販売で、約20%が募集型企画旅行、残りの約10%がランドオペレーター事業や、通訳・ガイド事業となっています。

 年間の取扱人数は、パッケージツアーや航空券単体の販売を含めて約3000人で、リピーターが9割を占めます。顧客層は、どちらかと言えば中高年が多いですが、若年層からシニアまでさまざまです。最近では、パッケージツアーを利用してモンゴル旅行を楽しむ若い女性が増えています。

-体験型の旅行に重きを置いているとのことでしたが、どのようなコンテンツの人気が高いのでしょうか

佐藤 人気があるのはやはり乗馬で、日本とは全く違う、スケールの大きな自然のなかで乗馬を楽しむことができるのが理由です。景観についても大草原だけでなく、荒々しい岩山の眺望をも楽しめる点が喜ばれています。

 そのほか、日本では「幻の魚」と言われるイトウ釣りに挑戦するプランも人気ですが、ポイントまでは首都のウランバートルから車で8時間かかり、日程も最低1週間は必要なので、参加者は限られます。より一般的な人気があるのは、ウランバートルからさほど遠くない場所でも楽しめるゲルでの宿泊、気球、カヌーなどで、遊牧民の暮らしを体験するホームステイも伸びています。

 近年では、4輪駆動車でゴビ砂漠を疾走する「アドベンチャーツアー」に力を入れています。2日がかりでホンゴル砂丘や、かつてモンゴル帝国の首都だったハラホリン(カラコルム)を周遊するもので、ホンゴル砂丘の雄大な景観は感動的ですし、ハラホリン近郊の世界遺産のオルホン渓谷なども訪れる、見応え十分な内容です。将来的には、チンギスハーンの足跡を辿る歴史ツアーも造ってみたいと考えています。

-モンゴルに注力する旅行会社は他にもありますが、チンギスハーン旅行ならではの強みは何ですか

佐藤 スタッフは社員を含めて3人と少ないですが、全員が現地の事情を熟知しているので、体験と知識をもとに接客できるのが最大の強みです。また、モンゴル語ができる社員もいるので、現地に独自のコネクションを築いて緊密に連携し、他社が知らない情報をいち早く仕入れて、タイムリーに提供しています。

 顧客とは主にメールやソーシャルメディアでコミュニケーションを取っているので、レスポンスはできる限り迅速にするよう心がけています。たとえば航空券予約に関しては、他社なら翌日に回答するようなケースでも、すぐに空席状況を確認してその日のうちに回答することで、信頼を得ています。フライトの運航状況なども常に最新の状況を把握し、必要な情報を顧客と共有しています。