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週間ランキング、1位は羽田発着枠、京王観光やスカイマークのサイパン線も

[総評] 今週の1位は、羽田の国内線発着枠の回収と再配分の方針を決める会合について書いた記事でした。せっかく自社が持っている1枠100億円ともいわれる「ドル箱」をいくつ取り上げられるのか、そして再配分ではいくつ手に入るのか、という話で航空会社にとっては最重要課題のひとつですが、旅行会社の皆様にもご興味をお持ちいただけたようです。

 記事にも書いた通り羽田の国内線発着枠は5年ごとに期限が切れることになっており、次回が2020年の1月であることから国土交通省航空局が「羽田発着枠配分基準検討小委員会」を開催し、夏までに方向性を決めましょうという趣旨です。

 この小委員会は2012年にも開催されてましたが、その際は週25便の増枠をどう配分するかが主眼となり、日本航空(JL)の経営破綻もあってJL3便に対して全日空(NH)が8便と差を付け、また新興航空会社への支援としてスカイマーク(BC)に4便、エア・ドゥ(HD)に2便、ソラシドエア(LQ)に3便、スターフライヤー(7G)に5便を配分しました。

 今回は、この時の増枠分も含めて約460便分の枠をどうするかという話で、各社とも1便も手放したくないし1便でも多く欲しいのは間違いありません。そのあたりの火花は次回会合のヒアリングで目に見えてくるものと思われますが、JLの「禊(みそぎ)」の期間は終了しており、あるいは上記新興航空会社のすべてにNHの資本が入っているなど、前回とはまた状況が変化しており、そうした部分がどのような結論に繋がっていくのか注目が集まります。

(ちなみに、現在の会社別の発着枠数とシェアはJLが184.5枠で39.8%、NHが171.5枠で37.0%、BCが36枠で7.8%、LQが25枠で5.4%、HDと7Gが23枠ずつでそれぞれ5.0%ということだそうで、JLとNHのみで比べるとJLの方がまだ多い一方、NHの息がかかった4社を含むとNH側が6割を超えるという構図です。)

 今回は初回でしたので具体的な議論というよりは、「こういうところも考えておかないといけないよね」といった論点整理が中心でした。とはいえそうしたなかでも委員から、訪日需要が激増していることもあるし国内線枠を回収して国際線に振り替えてもいいのではないか、など多様な意見が示されたのは、予定調和的でなく良かったのではないかと感じます。

 国際線への振替については過去にも議論があり、「相互主義的には相手の国にも同数の枠を提供しなければならないので難しいかな」という話になっていましたが、時と状況が変われば結論が変わる可能性もありますし、とにかく多様な観点からラディカルな検討がなされてほしいと思います。

 さて、このほかBCによるサイパンへのチャーター計画が第4位にランクインしました。正直なところもう少し順位が上に来ると予想していたのですが、外れてしまいました。この理由を考えると最初に話が表に出てきたのが昨年5月で、就航に向けたMOUまで結んでおきながらなかなか具体的な進捗が見えてこず、昨年末ごろには「やっぱり嘘だったんじゃないか」というような声まで聞こえてくる始末でしたので、関心の糸がゆるんでしまっていたのかもしれません。

 とはいえ、こうしてようやく正式に発表ができたわけで、ここからが重要です。噂によると売れ行き好調ということで、当然BCとしてもめざしているであろう定期便化へはずみがついてほしいものです。

 なお、今週はNHとJLの第3四半期決算の記事も掲載しましたが、いずれもランク外と振るいませんでした(NHJL)。まあ確かに決算の記事は、特に通期でないと数字ばかりで退屈になってしまいがちなことは否定できません。今後は、こういう分野でも「お!」と思っていただけるような切り口や書き方でコンテンツをお届けできるように努力していきたいと思います。記事のジャンルを問わず、ご意見やご要望などありましたら是非お問い合わせフォームよりお知らせいただけますと幸いです。(松本)

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