itt TOKYO2024

トップインタビュー:エボラブルアジア・エアトリ代表取締役社長の吉村英毅氏

DeNAトラベル買収、国内第2位のOTAに
認知度向上に向け広告展開強化

-海外発の海外旅行への取り組みはどうお考えですか

吉村 旧DeNAトラベルの子会社で、シンガポールのギャムソインターナショナルツアーズが、シンガポール人向けに旅行事業を展開しており、利益が出ているため継続する。他の地域はメタサーチに出稿して集客しているが、手数料などでコストがかかりすぎ、利益があまり残らないため一度休止する。

 まずはエアトリブランドを確立することで、メタサーチや「格安航空券」などのリスティング広告経由ではなく、「エアトリ」を検索してサイトに流入する旅行者やリピーターを増やすことが先決だ。そのための投資として広告出稿を増やし、テレビCMなどを積極的に実施している。今期は利益の2倍にあたる30億円程度を費やすつもりだ。ちなみに、前期(16年10月~17年9月)は営業利益が10億円弱で、広告費用が20億円だった。

 現在はITオフショア開発事業や訪日旅行事業などで出た利益を旅行事業に投資している。ただし、ずっと同じビジネスモデルを展開するわけではない。エアトリブランドの認知度向上に連れ、徐々に広告費は減るだろう。来期にはある程度目処がつくと思う。


-ITオフショア開発事業について教えてください

吉村 ITオフショア開発事業はどんどん伸びている。日本企業のIT投資が増えるなか、日本人のエンジニア不足により需要と供給が釣り合っていないため、需要は十分にある。今はベトナムのホーチミン、ハノイ、ダナンのオフィスで、約1000名のITエンジニアを雇用している。日系企業の東南アジアでのオフショア開発事業としては最大手になったので、今後はITエンジニアを3000人規模まで増やし、全世界での最大手になりたい。

 旅行関連のシステム開発はベトナムで実施している。DeNAトラベルも我々のクライアントの1社だったので、システム統合の際のメリットになると感じている。


-訪日旅行事業についてはいかがですか

吉村 海外の旅行会社に対してOEMで国内航空券を多言語で販売しているが、非常に好調だ。また、Airbnbと提携した民泊関連事業も開始した。我々の子会社である「エアトリステイ」で、民泊関連サービスを提供する15社と協力し、Airbnbに物件を掲載したい不動産会社などのオーナー様に、Airbnbの登録やチェックイン対応、鍵の受け渡し、清掃サービスなどをワンストップで提供している。このほど家主不在型の民泊物件を管理する「住宅宿泊管理事業者」に登録した。

 このほか、他社の買収により訪日旅行者向けのWiFiレンタル事業とキャンピングカーのレンタル事業を、子会社で両替事業をそれぞれ展開している。今後はオンライン旅行事業やオフショア開発関連企業をターゲットに、積極的にM&Aを実施したい。旅行業界とは離れた領域だが成長基調で、引き続き成長が見込める企業も買収したい。


-10年後、どのような企業になりたいとお考えですか

吉村 我々は「終わりなき成長」を重視しており、ビジネスのチャンスがあれば貪欲に勝負する企業でありたい。ソフトバンクのように、規模が大きくなっても成長が鈍化しない会社になりたいと考えている。今後、経済の中心がアジアになり、人・モノ・金の動きが活発化するなか、アジアを代表するリーディングカンパニーになるべく、さまざまな変化をビジネスチャンスとして事業を拡大していきたい。


-ありがとうございました