50回目のIPWがデンバーで開幕-日本市場への投資継続

  • 2018年5月22日

会場のコロラド・コンベンション・センター (デンバー発:行松孝純) 米国コロラド州のデンバーで現地時間の5月21日、USトラベル・アソシエーション(USTA)が主催する旅行商談会「インターナショナル・パウ・ワウ(IPW)」が開幕した。今年は記念すべき50回目で、デンバーでの開催は27年ぶりの2回目。23日まで、70ヶ国以上のバイヤーをはじめ、サプライヤー、メディアなど計6000名が参加する予定で、日本からの参加者は60名超に上る。

オープニングでのテープカット  21日の午後には、日本旅行業協会(JATA)と米国の観光プロモーションを担うブランドUSAが毎年恒例の意見交換会を実施し、訪米旅行の需要拡大に向けた協力の継続について確認。JATAからは理事長の志村格氏、「ディスカバー・アメリカ・プロジェクト」の座長を務める古澤徹氏などが出席し、2012年に開始した同プロジェクトに関して、直近1年間の旅行会社向けセミナーの開催や消費者向けイベントへの出展、ファムツアー、ツアー企画コンテストなどの実施状況について報告した。あわせて、日本市場向けのプロモーション予算の維持についても要望した。

 米国からはブランドUSAグローバル・トレード開発担当ヴァイス・プレジデントのキャシー・ドマニコ氏らが出席し、JATAの協力に感謝の意を表明。16年には訪米旅行市場で4番目に多い約360万人の旅行者が訪れ、161億米ドルを消費したことなどを評価するとともに、引き続き「ツーリズムEXPOジャパン」に出展するなど日本への投資を継続する考えを伝えた。今年の7月9日と10日には日本で、昨年に続く2回目の商談会「ブランドUSAセールスミッション」も開催する。

 なお、過去には年間450万人を掲げた日本人旅行者数の目標(下記関連記事)については、今回の会合では言及されなかった。米国商務省によると、12年から16年までの日本人旅行者数は350万人から370万人台の間で推移しており、17年についてはいわゆる「トランプ・スランプ」が危惧されたものの、発表済みの1月から9月までの累計は269万4018人で前年並みを維持。なお、同省は今年4月、これまでの訪米外国人旅行者数の集計に不備があったとして、17年10月分以降の発表を一時停止する旨をアナウンスしている。

意見交換会後の記念撮影  終了後に記者団からの質問に応えた志村氏は、ブランドUSAがインターネットによる一般向けのキャンペーンなどに限らず、引き続き日本のバイヤーを米国に招聘したり、米国のサプライヤーを日本でのロードショーに派遣するなどして日本市場に予算を投入する方針を確認できたことに「安心した」とコメント。今後は中国やインドなど成長市場への予算配分が増えることは不可避との見方を示しながらも、「日本への予算が急激に減ることがないようにしていただきたいことは、複数の出席者が要望したことで伝わったと思う」と感触を語った。なお、昨年のトランプ氏の大統領就任後には、ブランドUSAへの予算削減の可能性が一部の現地メディアに報じられている。

 志村氏は、今後は改めて、現地での消費額が大きく、新たなデスティネーションを求める傾向の強い日本人の「旅行の質」を追求し、米国側にアピールする必要があることを強調。「デンバー周辺であれば(リゾート地の)アスペンなど、個人では手配しにくいデスティネーションを開発していくところに(OTAではない従来型の)旅行会社の出番があるだろう」と語った。

※IPWのレポートは後日掲載予定