itt TOKYO2024
itt TOKYO2024

インタビュー:ANAセールス取締役旅行事業本部長の浅田康夫氏

  • 2018年4月18日

顧客志向で収益拡大、今年は規模拡大へ
ハワイはA380導入に向けさらに強化

-国内旅行について、現状と今後の展開をお教えください

浅田 国内旅行はANAセールスの収益の柱で、売上高の95%をパッケージツアーが占める。残りの4%は団体ユニットで、ホテルなどの旅行素材の単品販売が1%程度。パッケージツアーは他の旅行会社経由の販売がメインの「スカイホリデー」、直販の「WEB限定ツアー」、DPの「旅作」の3種類を展開している。

17年度の売上高は前年度を若干下回っており、危機感を感じている。お客様の価値観が多様化するなか、パッケージツアーだけでなく、お客様が求める旅行商材をタイムリーに提供できる旅行会社にならなければならないと考えている。

 「スカイホリデー」は引き続き旅行会社経由でも販売するが、店舗での旅行商品の販売が減少するなか、価格変動型の商品を検討している。現在の商品は価格が固定されており、お客様にとっては分かりやすいが、パッケージツアー用の座席や客室が売り切れた時点で、ツアーは販売終了となる。DPのような価格変動型にすれば、最後の1席・1部屋まで販売できるし、お客様にとっても旅行の直前に購入できるというメリットがある。

 このほか、旅行会社のウェブサイトでの販売が拡大傾向にあることから、他の旅行会社が自社のウェブサイトで「スカイホリデー」を販売しやすい仕組みの構築を考えている。

 ホテルなどの旅行素材の販売強化にも取り組む。現在はANA SKY WEBで宿泊商品「@ホテル」とレンタカー商品「@レンタカー」を販売しているが、新たな旅の素材をラインナップすることで新規需要を獲得していきたい。また、ANAマイレージプログラムとの連携を深めることによりNHの航空券を購入するお客様と、我々の旅行素材の販売をうまくつなげていきたいと考えている。


-訪日旅行の取り組みについてお教えください

浅田 16年度から17年度にかけては、売り上げで大きなシェアを占めていた提携先との取引が減ったことで売上高は落ち込んだ。しかし、昨年2月に訪日旅行を取り扱う海外の旅行会社向けの国内素材販売システム「ARIES(アリエス)」をリリースし、これまでオフラインで対応していたものが、オンライン化できたことで18年から取扱が増加している。

 ARIESは海外の旅行会社とのシステム接続が可能となっており、すでに中国と香港のOTA2社と接続している。今後、アジアや中国系の旅行会社を対象に、接続する会社数を増やしたい。

 また、エイチ・アイ・エス(HIS)と訪日FIT向けに設立した合弁会社「H.I.S.ANAナビゲーションジャパン(略称HAnavi)」は昨年9月末にサービスを終了した。HISの国内宿泊予約サービス「スマ宿」で取り扱う宿泊施設と、NHの国内線を合わせたDPを販売していたが、HISが9月に「スマ宿」を終了したことで解散に至った。今後はANAセールスとして訪日旅行者向けのFIT商品の展開について、システム開発を含めて検討していきたい。


-ありがとうございました