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インタビュー:ANAセールス取締役旅行事業本部長の浅田康夫氏

  • 2018年4月18日

顧客志向で収益拡大、今年は規模拡大へ
ハワイはA380導入に向けさらに強化

-海外旅行事業の展開についてお考えをお聞かせください

浅田 添乗員付きのパッケージツアーは、「ANAワンダーアース」「WEB限定ツアー」、ANAマイレージクラブ(AMC)の会員限定ツアーがあるが、17年度からいずれも、ANA SKY WEBやコールセンターなどの直販のみで展開している。添乗員付きの高付加価値な周遊旅行は、お客様との濃密なコミュニケーションが必要だが、他の旅行会社の店舗でリテール販売すると、旅行会社経由でのやり取りとなってしまうため、直販に特化することに舵をきった。

 16年度までは、添乗員付きツアーの売上高の3割は他の旅行会社経由だったため、直販化で売上規模は落ちたが、収益性は大幅に改善した。18年度は高まった収益性を維持しながら、いかに規模を拡大していくかに取り組みたい。

 今後は添乗員付きツアーの催行率を高めながら、取扱人数の拡大に取り組む。そのためにはリピーターを増やす必要がある。現在はリピーターのお客様は少ないが、お客様との濃密な関係性を構築することにより、将来的にはリピーターのお客様のシェアを70%まで高めていきたい。

 旅行会社経由の販売は個人型商品の「ハローツアー」で今後も継続する。特に家族旅行やハネムーン、女子旅などは、旅行会社の店舗で購入される方が多いため、引き続き取り組みを強化していきたい。

 また、NHが19年から20年に予定されている首都圏空港の発着枠増枠に伴い、航空座席供給量を4割伸ばす計画を発表しており、海外旅行は規模拡大のチャンスがあると捉えている。


-NHがA380を投入するハワイについて、今後の戦略をお教えください

浅田 ハワイはANAセールスの海外旅行の売上の42%を占める主力で、主に「ハローツアー」で販売している。A380型機の導入でホノルル線の座席供給量が大幅に増えるため、ANAセールスの役割は大きくなる。

17年度からハワイを強化し、パッケージツアーで16年比1万人増の3万人をめざしてきたが、目標は達成する見通しだ。20年度にはパッケージツアー、団体旅行、ホテルや現地アクティビティなどの旅行素材で年間取扱人数を10万人まで増やしたい。ハワイは他社の力も強いが、ANAグループの総力を挙げて、ハワイをいかに(我々のコーポレートカラーである)ブルーに染めるのかを考えているところだ。

 A380型機のプロダクトそのものでも他社と差別化できるが、もう1つの強みは、NHのマイルを現地サービスで活用できるようにすること。ANA SKY WEBでNHの航空券を購入した旅行者や、特典航空券を使う旅行者などへの、新たな現地サービスを検討している。秋を目処にサービスを開始する計画だ。