日本とロシア、観光交流を加速、18年の22万人に向け覚書改正

  • 2017年9月21日

署名式後の記念撮影  「ツーリズムEXPOジャパン2017」が開幕した9月21日、日本とロシアの観光当局は会場の近くのホテルで、今年2月に合意した「2019年までの共同活動プログラム」の改正覚書と、「食と観光週間イベント開催協力覚書の2つに署名した。近年の日露首脳会談や、今年1月の双方のビザ取得要件緩和などにより活発化している観光交流を、さらに加速させることがねらい。署名式には、日本側は観光庁長官の田村明比古氏、日本政府観光局(JNTO)理事長の松山良一氏、全日本・食学会常任理事の杉山衛など、ロシア側は観光局長官のサファノフ・オレグ・ペトロヴィッチ氏などが出席した。

 「2019年までの共同活動プログラム」については、今年2月に観光庁とロシア連邦観光局がモスクワでの「日露観光交流促進協議会」で掲げた19年の年間交流人口25万人の目標に加えて、新たな目標として18年に22万人をめざすこととした。18年を「日本におけるロシア年」「ロシアにおける日本年」と定めていること、同年にはロシアでサッカーのワールドカップ大会が予定されていることなどから、18年を観光交流拡大の節目として中間目標を定めたかたち。19年の25万人については、進捗次第で数値を見直す。日本人旅行者数とロシア人旅行者数の比率などについては示していない。

 観光庁によれば15年の訪露日本人旅行者数は約8万7000人で、訪日ロシア人旅行者数は5万5000人。合計では14万人強となるが、今年1月から8月までについては、ビザ取得要件の緩和などが功を奏し、訪露日本人旅行者は16年比で2割増、訪日ロシア人旅行者は4割増で推移しているという。

 JNTOとロシア連邦観光局が新たに署名した「食と観光週間イベント開催協力覚書」については、18年に両国で実施する予定の「食と観光週間」について、相互に協力することを約束。ロシアでは全日本・食学会が、日本ではロシア人が会長を務める国際ワインガストロノミー協会が、それぞれ支援する。開催時期などの詳細は未定。

 署名を終えた田村氏は「2つの覚書は2国間の観光交流に一層の弾みをつける」と強調。ペトロヴィッチ氏もそのことに同意するとともに「18年の22万人、19年の25万人は確実に達成できる」と意欲を示した。

 ペトロヴィッチ氏はあわせて、このほど観光客誘致のためのマーケティング活動を日本でも開始したことを報告。詳細については明らかにしなかったが、観光庁によればロシアで証券取引など多くの事業を手がけるメトロポール・グループの東京支社に業務を委託したという。日本事務所を閉鎖しているロシア連邦観光局については、再開に向けた検討が進んでいると伝えられていたところ(下記関連記事)。