週間ランキング、1位はてるみ再発防止、火のないところに煙は立たず

[総評] 今週の1位は、てるみくらぶの騒動に対する観光庁の再発防止策が1位になりました。再発防止は業界全体にとって当然かつ急務であり、今回とりまとめられた施策も一定の効果を持つのでしょうけれども、業界のプレーヤーである我々一人ひとりも「お上」の動きのみを当てにして座して待つべきではありません。

 てるみくらぶが破産する以前から、この文章をご覧の読者諸兄姉のなかでもきっと多くの方々が同社についてのリスクを大なり小なり耳にされていたのではないかと思います。私もその一人であり、たしか直後に当欄でも書きましたが、ああいった結果となる前に何かできることはなかったのかと今でも自問しています。

 旅行業界誌という性格上、旅行会社を応援するのが一義的な役割であって、できれば足を引っ張るようなことはしたくなく、ましてやその根拠が薄弱であっては動きようがないという制約があるわけですが、結果的には何もしなかったことが業界全体への逆風に繋がったといえなくもありません。

 万が一にも次が起きた時に同じ後悔をしたくないわけで、業界全体としてのそうした意識の表出が今回の観光庁による再発防止策でしょう。弁済制度の見直しや監督機能の強化はもちろん、新たに設置される通報窓口は是非ともうまく機能してほしいと思っています。むしろ、できることであれば窓口だけでも先行して開設するべきでないかとすら思います。

 ただし、通報窓口の運用はなかなか難しさもあるはずで、まずは「通報があったとしてどのような条件に合致すれば何をするのか」を決めなければなりませんし、その結果を公表するのかも難しい判断となるでしょう。

 とはいえ、この点はお上の判断を待つしかないわけですが、様々な難しさに配慮するあまりに骨抜きになってしまうような事態は是非とも避けてほしいものです。もちろん、ライバル関係にある会社について虚偽の内容で通報する、といった悪用の意図には備えてほしいところですが、旅行業界の信用を傷付ける可能性に対しては、多少暴力的にでも対処していってほしいところです。

 先述の通り旅行業界誌ならではのジレンマがあり、なおかつ材料が揃っていないためまだ書くことはできませんが、現在も大小の悪い噂が耳に入る会社は複数存在します。火のないところに煙は立たないともいいますが、煙を見る機会が多ければ多いほど火の存在が感じられるようになってくるものです。また、まだ私の目には入っていない煙も当然あるでしょう。

 もしも皆様のなかで火元近くで働いているかもしれないという自覚があり、それに少しでも悩んでいらっしゃるようなことがあれば、是非窓口の開設を待たずに観光庁や日本旅行業協会(JATA)、全国旅行業協会(ANTA)などに相談してみていただきたいと思います。

 また、そうした会社を経営されるお立場の方々には、仮に噂がまったく根拠のないものであったとしても是非ともそうした噂が出てしまう元凶を断っていただき、残念なニュースを掲載しないで済むようにしていただきたいと切に願っております。(松本)

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