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トップインタビュー:ピーチ・アビエーション代表取締役CEOの井上慎一氏

「女性向け・低価格・高運航品質」で地位確立
17年度までに20機体制、搭乗者数700万人めざす

―現在の利用者層やその動向についてお聞かせください

井上 今では国際線と国内線全体で大体20代から30代の若い人が5割程度と多数を占めている。国際線だけを見ると6割が台湾や香港、韓国からのインバウンドで、同じく若い人が5割程度。男女比でいえば女性が55%になった。以前は女性が6割だったが、特に仙台線や福岡線で少しずつだがビジネス需要の男性が増えてきている。

 また、最近は国内線で外国人が増え始めるなどの変化が起きている。恐らく旅慣れたリピーターが増え始め、「直行便があっても、MMで乗り継いで行くほうが安くて良い」というような動きが出てきているのだろう。こうしたお客様の動向をいかに早く掴むかはとても重要になってくる。

 ヒットした海外日帰り運賃のコンセプトもお客様が考えたものだった。我々はMMを使って関空から韓国へ日帰り旅行に行くお客様がいるという噂を聞いて、本当かと思って運賃を設定したら売れた。現在も、ビジネス客が増えてきた路線や男性が多い路線など色々変化が起きているので、動向を把握して需要を取り込んでいきたい。

―貴社は直販がメインですが、旅行会社との関係性についてお考えをお聞かせください

井上 当社の予約率はインターネットが97%程度になっている。だが、旅行会社とお付き合いしないと決めたわけではなく、新しい形での連携方法を模索している。例えば、関西では今、空港会社による着陸料の減免措置やアクセス会社による空港バスの増便、それに対する自治体の支援など、期せずして1つの共同体のようなものができている。それが利便性の向上やお客様の増加につながり、一時期低迷していた関空や街のシャッター通りが再活性化した。私はこの共同体のなかに旅行会社も加われるのではないかと考えている。

 こういった取り組みはまだ他の就航地でも始まってない。また、我々も最近やっとこのサイクルに気づいたところなので、旅行会社にお声がけもしていないが、新しい形で展開できれば面白いだろう。


―スカイマークの再建やエアアジア・ジャパンの就航も想定されるなかで、今後の目標についてお聞かせください

井上 他社ではさまざまな動きが出てきているが、エアアジア・ジャパンはまだ就航していないし、スカイマーク(BC)もまだ明確な戦略を出していないので何とも言えない。とはいえ、一口にLCCといってもその実中身は多様であるものの、成功している会社がしているのは、手ごろな運賃を提供してちゃんと飛ぶという結構シンプルなこと。我々もともかくコストを下げ、やるべきことを深掘りしていく。

 まずは16年度に搭乗者数で500万人から600万人をめざしたい。ちなみに17年度は600万から700万人で、毎年100万人ずつ上乗せしていこうと考えている。17年度時点での機材数は20機の計画だ。

 路線展開についてもたくさん考えているものはあるが、アジアの空港は現在どこも混雑していて、我々の都合だけでは飛べない。就航地やその時期などについては条件が整い次第としかいいようがない。だた、関空と那覇から片道4時間の距離という範囲のなかで検討を進めているので、優先順位としては近距離アジアが中心となるほか、東南アジアも視野に入っている。


――ありがとうございました