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トップインタビュー:ピーチ・アビエーション代表取締役CEOの井上慎一氏

「女性向け・低価格・高運航品質」で地位確立
17年度までに20機体制、搭乗者数700万人めざす

 日本で初めてのLCCとして2012年3月に関西を拠点に就航し、今年で4周年を迎えたピーチ・アビエーション(MM)。昨年11月には、CAPA-Centre for Aviation(CAPA)による「2015 CAPA アジアパシフィック・アビエーション・アワード・フォー・エクセレンス」において、LCCを対象とした「アジア・パシフィック・ローコスト・エアライン・オブ・ザ・イヤー」に選出され、日本市場でのLCCモデルの成功を証明した。就航4周年で築いた実績や今後の取り組みについて、同社代表取締役CEOの井上慎一氏に伺った。


―12年3月の就航から4周年を迎えられた所感をお聞かせください

井上慎一氏(以下敬称略) よくここまで来られたなという感じ。誰もしたことがないことをするというのはやはり大変。試行錯誤の連続で、決して一直線にきたわけではない。滅茶苦茶としかいいようのないチャレンジの連続で、社員もよくついてきたなと思う。

 就航から約4年が経過し年度でいえば5年度目だったが、機材は今17機まで増えた。当社は路線を飛行時間ごとに分類しているが、一般的に国際線といわれる路線は10路線、国内線は13路線に拡大した。ロードファクターは14年度が85.9%で、15年度もこれを超える勢いで進んでいる。今年度の旅客数は400万人が視野に入ってきた。

 今年度までに累計損失を一層する、というのが私のミッションだった。航空事業はイベントリスクに弱いためまだ油断はできないが、とりあえず第4コーナーを回った段階でゴールは見えてきているので、ここまでついてきてくれた社員のためにもなんとか達成したい。


―日本のLCCの草分けとして成功した秘訣について、お考えをお聞かせください

井上 当社は日本初のLCCといわれたが、世界的に見れば1番遅い参入者だ。40年前のモデルを同じようにしたところで勝ち目はない。そこで、差別化のためのブランディングに取り組み、そのターゲットをビジネスマンや旅行者など一般的な分け方ではなく、女性に設定した。

 そして、まず「ちゃんと飛ぶ」ということにこだわった。当初からLCCであろうとFSCであろうと高い運航品質が大事だと考えて取り組んできた。おかげで14年度の就航率は99.1%だった。

 また、コストマネジメントはかなりメリハリが効いていると自負している。実は、お客様と安全に関わるところは、あまりお金を惜しんでいない。例えば、機体に使用しているフューシャピンクという色はラメも入っていて通常のものより高いが、ターゲットである女性の受けを考えて使用しており、一方で机や椅子などの備品はオークションで調達することもある。