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「RYOKAN」をインバウンド強化の推進力に-国政研シンポ

受入側だけが戸惑う「言葉の壁」
飛び越えて「RYOKAN」ブランド構築を

「オール旅館」体制でブランド構築を

EXA PARTNERS代表の方健太郎氏 パリを拠点に外国人向けの旅館予約サイト「Ryokan Experience」を運営しているEXA PARTNERS代表の方健太郎氏は、「Ryokan Experience ~旅館ブランドの価値向上に向けた取組み~」と題した発表で、日本の旅館業者が取り組むべきブランディング戦略について解説した。旅館側の外国人旅行者受け入れに対する慎重な姿勢については、自身が生活するフランスなどと比較して「卑下し過ぎでは」と疑問視し、日本の旅館は自信を持つべきと訴えた。

 方氏はフランス人のブランド戦略について、「どんな物でもブランドの力で高く売るのが上手い」と評価し、「そこから学ぶことがあるのでは」との見方を示した。また、著名なブランドのエルメスが約3500人もの職人を1つのブランドで守っているように、「旅館を海外に売るためには旅館ごとに展開するのではなく、『オール旅館』体制でブランドを構築しなくてはいけない」と主張した。

 ブランド価値を高める方法については、米国のブランディング企業ランドーアソシエイツ社のアレン・P・アダムソン氏の著書「利益を生み出す熱狂ブランドの作り方」を引用。同署で示された「価値のある違いを示す」「(ブランドが)人格を持つ」「(ブランドが擬人化して)お客様の友達になる」「知ってもらう」「紹介してもらう」の5つが、旅館のブランド構築についてもそのまま当てはまると説明した。

 そのうち「価値のある違い」については、7月にパリで開催された「JAPAN EXPO」において、全旅連ブース内での写真撮影が人気となったことを例に挙げ、「その理由は浴衣を着ることができたから」と説明。「単純なものが非常に大きな価値を持っている場合があり、そういったものは割と身近にあるのかもしれない」と述べるとともに、それらを明確化して、分かりやすく実践することが重要になるとした。

 そのほかブランド構築のためには、欧米人が見てかっこいいと思うようなヴィジュアルをウェブサイトなどで打ち出すことも重要になると指摘。また、本格的な純和風の旅館だけでなく、部分的に西洋化された旅館などにも欧米人は興味を持つ場合があるとし、「日本のものが西欧の影響も受けていたとしても、決して恥じる話ではない。これもブランドの1つになる可能性がある」との見方を示した。