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アクセスランキング、1位はエアアジア、LHの長距離LCCが2位

[総評] 今週1位の記事は、エアアジア(AK)グループが日本/東南アジア間の路線網を拡充する内容でした。先週も楽天などと組んでエアアジア・ジャパンを再設立した記事が3位に入っており、話題が集中している、あるいは集中させている印象を受ける2週間です。

 さて今回の路線網拡充は、AKグループで中長距離を専門とするエアアジアX(D7)が成田/クアラルンプール線を、D7のタイ現地法人であるタイ・エアアジアX(XJ)が成田と関空からバンコク・ドンムアン線を開設するものです。

 D7が羽田と成田、あるいは中部、関空の路線をどのように両立するのかも注目が集まりますが、やはりマレーシア線とは比較にならないほど熾烈な競争を勝ち抜かなければならないXJの戦略が気になります。

 日本/バンコク線では、大手FSCだけでなくアジアンエア(BN)やジェットアジアエアウェイズ(JF)、10月までにカンボジア線に切り替える予定ではあるもののアジア・アトランティック・エアラインズ(AAA/HB)といった航空会社が存在し、さらに今後もスクート(TZ)とノックエア(DD)が共同設立したノックスクートの就航も見込まれます。

 そもそも、TZはシンガポール航空(SQ)の子会社でDDはタイ国際航空(TG)が出資をし、さらにTGはFSCとLCCの中間的な準プレミアムブランドとして「タイ・スマイル航空」も運航しており、競争環境の複雑さは概要を把握するのも困難なほどです。タイだけでこれですから、SQが出資するシンガポールのタイガーエア(TR)などについても考え始めると気が遠くなるような思いがします。

 日本ではLCCの文化が本格的に根付くかどうかという段階で、海外のこうした動きは日本に乗り入れて初めて「黒船」として認識される程度です。しかし、日本ではLCCは育たないといわれていた数年前と現在の状況を比較すれば、将来を見通す上で、こうした他国の動きを学んでおくことは非常に重要でしょう。

 その意味では、2位に入ったドイチェ・ルフトハンザAGの記事も歴史の変わり目になる可能性のある内容です。詳細は記事に譲りますが、目玉の一つは長距離LCC事業の検討です。

 欧州では、FSCとLCCの競争に加えて、もともとLCCの登場以前からチャーター専門の航空会社が有力なプレーヤーとして存在してきました。チャーター専門航空会社は主にTUIやトーマス・クックなど旅行会社の傘下で、いわゆる「ノーフリル」のLCCとは異なる低コスト運営を実現してきたといいます。(運輸政策研究機構のサイト上で東京海洋大学教授の遠藤伸明氏が公開している文書が勉強になります。[PDFダウンロード])

 この三すくみ状態の中でルフトハンザ・ドイツ航空(LH)などのFSCは疲弊してきたわけですが、その活路の一つとして長距離LCC事業が浮上したことになります。

 おそらく、FSC事業を脅かさないほぼ純粋なレジャー路線を対象とし、日本に飛来することはないだろうと勝手に予測はしていますが、欧州内の競争環境に影響を与えることは間違いないでしょう。グループCEOのカルステン・シュポア氏も、「我々はこれまで、幾度も航空業界のスタンダードを確立してきた。今後もそうし続けない理由はどこにもない」とコメントされています。

 繰り返しになりますが、諸外国で起きている変化が日本では絶対に発生しないと考えるのはもはやナンセンスです。シュポア氏の言葉をお借りすれば何が次の「スタンダード」になるのか、航空業界だけでなく旅行業界、ホテル業界などに幅広く目を配り、備えていかなければならないと感じています。(松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2014年7月第2週:7月6日0時~7月11日16時)
第1位
エアアジア、バンコク2路線開設へ、クアラルンプール増便も(14/07/07)

第2位
ルフトハンザ、長距離LCC検討、TKと交渉も-組織再編で(14/07/10)

第3位
日系2社、5月の国際線旅客は12.4%増-全日空の勢い続く(14/07/08)

第4位
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第5位
観光庁、14年度の訪日市場別プロモーション策定、戦略を細分化(14/07/06)

第6位
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第7位
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第8位
現地レポート:バンクーバー、気ままな街歩きで自分だけの旅を満喫(14/07/10)

第9位
HISの夏休み海外旅行動向、1位はハワイ、9月は近場アジアが好調(14/07/09)

第10位
HIS、スタッフ体験の絶景を書籍化、「世界の絶景さんぽ」(14/07/08)