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国内旅行造成、運輸業と連携強化、地域活性も-JATA経営フォーラム

  • 2014年3月11日

ランドオペレーター機能を強化、地域の活性化へ

モデレーターを務めたクラブツーリズムの梶田隆弘氏 国内企画旅行における進化のスピードが鈍い理由の一つとして、JR東日本の高橋氏はランドオペレーターの不在を挙げた。海外旅行における政府観光局やランドオペレーターの存在は大きい。その土地の魅力を知りつくし、さまざまな形で素材を提示してくれる地元の機関が国内には少ないため、各社がその領域を少しずつカバーしなければならないのが現状だ。

 JR東日本では、“動くレストラン”として昨年からスタートした列車「東北エモーション」が成功を収めている。地域の素材に外からのアイデアを積極的に取り入れたことで、これまで東北に取り込めなかった20代から50代の女性層にヒットした。「移動手段である鉄道に付加価値をつけることで、需要のないところに人の流れを作った」(高橋氏)成功例といえるだろう。

 JTBでも地域開発にさまざまな形でアプローチしている。例えば、半年ごとに展開するキャンペーン「日本の旬」では、14年上期に1200周年を迎えたお遍路を取り上げ、若い女性向けに「おしゃれお遍路」を提案。地域の行政や事業パートナーと共に創り上げ、キャンペーン期間を過ぎても継続できる仕組み作りをしている。

 ランドオペレーター機能を持たないWILLER EXPRESS JAPANでは、東京ディズニーリゾート(TDR)への路線を具体例とし、旅行会社とのパートナーシップを求めた。2013年8月1日より高速ツアーバスは高速乗合バスへ移行したが、これによりTDRは高速乗合バスの管轄となったためだ。同社では全国からTDRへ毎日30便から40便の夜行バスを運行しており、まずはこれを旅行会社のプランとコラボレーションすることで、魅力的な商品造りを提案していきたい考え。

 運輸業者は時代に合わせて進化し、各社が独自にランドオペレーター機能を開拓している今、これらを旅行会社のノウハウと柔軟に組み合わせていくのは、新たな国内企画旅行造成のために必要不可欠といえるだろう。モデレーターの梶田氏は、自ら話題を作り、人の流れを呼び込むことで地域を活性化し、日本を元気にすることこそが、国内旅行の進むべき道と説く。同氏はそのためには旅行者の人生をより豊かにする付加価値の高い商品をスピーディーに提供する必要があるとし、「旅行会社とサプライヤーが柔軟に手を組み、地域に交流人口を創出していくことが求められる」と締めくくった。

取材:竹内加恵