itt TOKYO2024

変化する航空仕入、LCCやチャーターの可能性は-JATA航空シンポジウム

  • 2011年10月11日

LCCの商品造成にも期待、B787でデスティネーション開発も

NOE取締役東京レジャー営業本部長の橋本肇氏

 また、昨今勢いを増すLCCと旅行会社との関係についても議論が交わされた。SQのリム氏はフルサービスキャリアの立場から「LCCは敵」と位置づけ、「LCCは発券システム、天候不良によるキャンセルの場合など、旅行会社にとってはリスクが大きい」と発言。一方、NHの片野坂氏は「ジェットスター航空(JQ)が旅行会社による商品造成に期待していると同様に、(NHが関係する)ピーチやエア・アジア・ジャパンも商品造成の可能性はあるのではないか。決してウェブ販売オンリーではないだろう」と旅行会社との新たなパートナーシップ構築は可能との見解を示した。

 その商品造成について、JTBの清水氏は「中長距離のLCCは旅行会社と親和性はあるのだろう」と発言。また、NOEの橋本氏は「座席が減っていくなかで、LCCが市場拡大のきっかけになることに期待している。日本流のLCCとのつきあいかたが構築できれば、旅行会社にとっても有益になるだろう」との考えを表した。しかし、LCCについてはその定義が曖昧という意見も多く、「マイレージの存在がLCCとネットワークの大きな違い。結局のところ消費者がどう選ぶかにつきると思う」と片野坂氏が述べるように、LCC旅行商品の可能性のカギとなるのは消費者の動向次第の可能性もある。

SQ日本支社長のデイヴィッド・リム氏

 このほか、NHが新しく導入したボーイング787にも議論が及んだ。「787を利用して新たなデスティネーションを一緒に開発していきたい」と述べるJTBの清水氏に対して、NHの片野坂氏は「航空会社としては、旅行会社と協力してデスティネーションを開発し、需要喚起をするのは使命だと思っている」と答えるなど、両者とも中型機ながらも航続距離が長い787の特性を生かしたビジネス展開に意欲を示した。