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変化する航空仕入、LCCやチャーターの可能性は-JATA航空シンポジウム

  • 2011年10月11日

増えるPEXが座席安定確保の妨げ、BtoBには専用の「新IT運賃」を

JTB航空政策室室長の清水直樹氏

 現在、機材が小型化してくなかで、航空会社による直販化の動きが加速し、海外募集型企画旅行ではIT運賃席の割合が減る代わりに、PEX運賃を利用する割合が増加している。シンポジウムでは石原氏が、このPEX運賃が座席の安定確保における問題の根源ではないかと問題提起。

 これに対してJTBの清水氏は、個人的な考えと前置きしたうえで、「BtoCの消費財としてのPEXと、旅行商品で使う運賃とは全く性格が違うもの。旅行商品にPEXを使うリスクはある。今までのIT運賃とは異なるインディビジュアル・トレード・フェア、つまり独自の取引運賃という新たな発想の『IT運賃』を検討する時期なのではないか」と主張。さらに「オンラインでの価格訴求で値崩れを起こしていく可能性がある。それよりも旅行会社との新しいビジネスを考えた方が、航空会社にとっても有益ではないか」と訴えた。

 また、NHの片野坂氏は、PEX運賃の発券期限や取消料などの負担が価格に転嫁されるのであれば、「消費者も幸せではないだろう」と述べ、現在進んでいる標準旅行業約款の見直しの方向性は正しいとの認識を示した。これを受けて、石原氏は「旅行商品を造るうえで、なぜ仕入れである航空券でBtoCのPEXを使わざるをえないのか。業者間取引ではありえないことだ。もっと正面からこの問題を検討していくべきだろう」と提案した。


チャーターの積極活用、「旅行会社の知恵の結集」へ

NH常務取締役執行役員の片野坂真哉氏

 定期便の座席確保が難しくなっていくなかでチャーターの活用にも注目が集まる。JTBの清水氏はグループとしてチャーターを強化していくと表明するものの、単独ではリスクが高いとも付け加える。「チャーターのルールが緩和されたが、それは航空会社にとっての緩和。チャーターは旅行会社の知恵の結集であるべきだと思う」と述べるとともに、「チャーターの座席を旅行会社のなかでうまく運用していく仕組み必要だろう。チャーターの自由度を増すと定期便に影響が出るという考えがあるが、逆にチャーターで実験をして定期便に生かしていく考え方もある」と指摘した。

 中小旅行会社の立場から、NOEの橋本氏は「中小の場合は自社でチャーターをやるリスクは負えない。大手と一緒にやる仕組みに大きな期待を持っている。コーディネートがうまくできれば、中小もリスクを負いながら活用していく流れになるのではないか」と今後の展開に期待感を示した。