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ハワイ、ホノルル空港など4島5空港で施設をアップグレードへ

  • 2006年3月30日
 ハワイ州政府はこのほど、ハワイ諸島の各空港の改修について「空港近代化プラン」をまとめた。計画は今後12年間に渡る長期的なもので、総予算は23億ドル。予算投資の主な対象となるのは、オアフ島のホノルル空港をはじめとする4島、5空港に関する整備。5年間に解決する短期的な課題と、5年以降12年で取り組む中長期的課題とに分けられており、短期的なものについては随時、計画期間内に実施に移されていく。日本の旅行業界からもハワイ側との会合において、たびたび空港施設の向上が課題と言及されていたが、ハワイ州政府はこの約1年半で計画をまとめた。

 ハワイ州知事のリンダ・リングル氏は「ハワイは海、または空からの2つのアクセス方法しかない。多くの人は空港を使い、ハワイ経済の中枢である観光にとっても重要」と語っており、観光客、ハワイ在住者ともに隔てなく空港施設の利用満足度の向上が最大の課題との認識だ。
 この空港施設の改善計画では、現在、および今後の需要予測を踏まえながら、高いコスト効率、機能性、順応性、安全性が戦略的に重視される。具体的には、オアフ・ホノルル空港、マウイ・カフルイ空港については空港ビルそのものが古く、今後の需要増が予測される中での対応も難しい。また、テロ予防策としてアメリカ運輸保安局(TSA)の基準を充たしながらも、旅客利便の確保を図るため、世界各国で導入が進むインラインスクリーニング(注)・システムを採用する。今後、ハワイ州諸島でも説明会の開催などにより、意見を聴取して着手に至る予定だ。



▽ホノルル空港の到着でウィキ・ウィキ・バスは廃止へ

 日本発でホノルル空港に到着すると、入国審査場への移動途中でウィキ・ウィキ・バスを利用している。このバスは現在、かなり古いものが利用されており、この移動方法は一部で無くなる。計画では、ホノルル空港の到着時の導線にいわゆる「動く歩道」を入れるほか、新たなバスを導入するなど、到着時の印象の悪さについても配慮した。また、空港内を暗く印象付けている天井もはずし、世界各国の空港で開放感のある空間を作り出している流れも取り入れる。また、インラインスクリーニングの導入で、ロビーに設置する荷物検査機などの設備を一掃することで、一段と広い空間となる。
 また、長期的には航空機の到着ゲートの増設、空港内の移動鉄道等の設置も計画されている。



(注)インラインスクリーニング:航空手荷物のセキュリティ検査の一種。セキュリティ確保のための爆発物検知装置(EDS)を荷物操作システム(BHS)に組み込むことで、セキュリティと荷物の仕分けが同時にできる。最大の利点は、従来は手荷物の預託前(チェックイン前)に行っていたセキュリティ検査が無いことから、旅客はチェックインカウンターの直接行くことができる。また、チェックインカウンター前に空間を生む建物の構造となる。最近では、欧米、アジアの各空港でもこの方式を採用、6月にオープンする成田空港第1旅客ターミナル南ウィングでも採用している。