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青森夏の風物詩「青森ねぶた祭り」魅力と楽しみ方を東北出身者が紹介

東北地方には、多くの魅力的なお祭りがあります。そのなかでも、青森県を代表する夏のお祭りが「ねぶた祭り」です。しかし、ねぶた祭りに初めて行く人や東北地方に詳しくない人のなかには、「どのようなお祭りなのかがよくわからない」という人も少なくないでしょう。

そこで今回は、東北地方で生まれ育ち、幼い頃から青森ねぶた祭りを観に行っている筆者ならではの視点で、魅力や楽しみ方を紹介します。青森県の三大ねぶた祭りや、東北地方の四大祭りも紹介するので、ぜひ東北地方への旅行の際は参考にしてみてくださいね。

青森の「ねぶた祭り」とは?

まずは、青森ねぶた祭りとはどのようなお祭りなのかを知るために、基本情報や歴史などを見ていきましょう。

青森ねぶた祭りの基本情報

青森ねぶた祭りとは、青森県青森市で毎年8月2日から7日にかけて開催される、夏の風物詩ともいえるお祭りです。「ねぶた」と呼ばれる大迫力で華やかな立体型灯篭を乗せた山車が街中を練り歩き、「跳人(はねと)」という踊り子たちが「ラッセラー」の掛け声に合わせてリズムよく跳ね踊ります。1980年に国の重要無形民俗文化財に指定された由緒あるお祭りで、毎年多くの観光客が訪れます。

青森ねぶた祭りの歴史

青森ねぶた祭りの起源は定かではありませんが、七夕祭りの灯籠流しが変形したものであるという説があります。7月7日の夜に灯籠を川や海に流す七夕祭りと、津軽地方の習俗や精霊流しなどの行事が一体化し、変化していったものが現在の形になっているそうです。

1700年前半には灯篭を持って踊っていた記録があり、最初から大きなねぶたではなかったようですね。また、1933年の東奥日報にはお祭りの様子が描かれていますが、当時は大半が担ぎねぶただったことが見てとれます。戦後、観光化という流れもあり、現在のような大型のねぶたに変化していったといわれています。

「ねぶた」の由来と「ねぷた」との違い

「ねぶた」という言葉には、七夕行事のひとつである睡魔払いの「眠り流し」の「眠り」が転訛したという一説があります。また、「ねぶた」ではなく「ねぷた」とする地域もありますが、同じく「眠り」が転訛したものです。青森県内でも地域によって訛りに違いがあるため、「ねぶた」と「ねぷた」に分かれ、主に青森市を中心とした地域では「ねぶた」、弘前市を中心とした地域では「ねぷた」になっているとされています。

ねぶたができる工程

大きくて立体的なねぶたが、どのようにしてできるのか気になる人も多いのではないでしょうか。ねぶたができる工程を、簡単に下記にまとめました。

  1. 題材について構想を練り、鉛筆で下絵を描く
  2. 顔や手、刀などのパーツの骨組みを作る
  3. 角材で支柱を作り、針金や糸を使って本体の骨組みを作る
  4. 1,000個以上の照明を取り付ける
  5. 骨組みに奉書紙を貼っていく
  6. 下絵をもとに墨で描いたあと、模様付けや色付けをする
  7. 車付きの台にねぶたを乗せる

ねぶた作りには、これほど多くの工程が必要となります。ねぶたを見るときには、できあがる工程にも想いを馳せるとさらに感動できそうですね。

青森ねぶた祭りの楽しみ方

全国的にも有名な青森ねぶた祭り。せっかく行くなら、思う存分楽しまないと損ですよね!見どころがたくさんあるので、どのようにするとお祭り期間を楽しく過ごせるのかを紹介します。

「ねぶたの家 ワ・ラッセ」で予習しておこう!

青森ねぶた祭りについて事前に知ってから行きたいという人は、「ねぶたの家 ワ・ラッセ」で予習しましょう。「ねぶたの家 ワ・ラッセ」は、JR青森駅から徒歩1分の場所にある青森市文化観光交流施設で、青森ねぶた祭りの魅力や歴史を存分に紹介しています。

1階の「ねぶたミュージアム・ねぶたホール」には実際に出陣したねぶたが展示されていて、間近で見ることが可能です。2階の「ねぶたミュージアム」では青森ねぶた祭りの歴史が学べるため、予習にはもってこいの場所です。

青森市文化観光交流施設 ねぶたの家 ワ・ラッセ

【住所】青森県青森市安方1-1-1
【電話番号】017-752-1311
【アクセス】JR「青森駅」から徒歩1分
【営業時間】5~8月9:00~19:00/9~4月9:00~18:00
【公式ホームページ】https://www.nebuta.jp/warasse/

前夜祭でモチベーションを高めよう!

本番に先がけて、8月1日には前夜祭が行われます。場所は、JR青森駅前の海に面した「青い海公園」にある、ねぶたの制作小屋が立ち並ぶ「ねぶたラッセランド」。前夜祭では、それぞれのねぶたの紹介や、お囃子のコンテストなど、さまざまなプログラムが用意されています。出店も立ち並び、いよいよお祭りが近づいてきたと感じられる雰囲気です。お祭り当日に向けてモチベーションを高めるために、ぜひ参加してみてくださいね。

大迫力のねぶたを間近で見てみよう!

青森ねぶた祭り当日は、大迫力のねぶたを間近で見てみましょう!照明がついて華やかなねぶたが、JR青森駅前を中心にぐるりと運行します。伝説や神話、歴史などモチーフにした立体的なねぶたは見ごたえ抜群。筆者は幼い頃に見たとき、あまりに迫力がありすぎてこわがってしまったくらいです。

遠くから見ると豪快できらびやかですが、目の前で見てみると細やかで繊細な模様やグラデーションにも気づけるので、また違った一面を見られます。迫力満点で、まるで今にも動き出しそうなねぶたを見ていると、パワーをもらえますよ。

担ぎねぶたや子どもねぶたも見もの!

青森ねぶた祭りといえば山車に乗った大型のねぶたですが、実は担ぎねぶたや子どもねぶたも運行されます。学校や町会、愛好会、子ども会などで制作したねぶたは、大型のねぶたよりは小ぶりですが迫力は引けを取りません。子どもから大人まで一緒になってねぶた祭りを楽しんでいる様子を見られるため、青森のねぶた愛を感じられますよ。ちなみに、2024年度は8月2日・3日のみ子どもねぶたが運行しました。

「ハネト」として参加してみよう!

青森ねぶた祭りを盛り上げるのが「跳人(ハネト)」と呼ばれる踊り子たち。「ラッセラー」という掛け声とともに、ねぶたの周りを跳ねるように踊ります。「団体に所属していないとハネトをできないのでは?」と思われがちですが、実は衣装を着ていれば登録や受付もなく誰でも参加可能!衣装は購入もしくはレンタルという方法がありますが、着付けの仕方が難しいためレンタル店で着付けまでお願いするのがおすすめです。ルールを守って楽しく参加できれば、特別な思い出になりますね。

プレミアム観覧席で優雅に鑑賞するのもおすすめ

ハネトとして臨場感ある体験をするのも楽しいですが、優雅にゆったりと鑑賞するのも一つの楽しみ方。青森ねぶた祭りには個人観覧席や団体観覧席が用意されていますが、中でも人気なのが平和公園通り沿いに設置されている「プレミアム観覧席」です。

専属コンシェルジュによる接客サービスを受けられるVIPシート、家族や仲間で観覧できるプレミアムシート4名席、大事な人と時間を過ごせるプレミアムシート2名席があり、それぞれ食事と飲み物も提供されます。高額ではありますが、優雅なお祭り体験はきっと一生の思い出に残るでしょう。

海上運行と花火大会で締めくくり!

最終日の8月7日は、フィナーレとしてねぶたの海上運行と花火大会が行われます。4台のねぶたが青森港を運行し、背景の夜空には約1万発の花火が浮かび上がります。明るく光るねぶたと花火のコラボレーションはとても美しく、海面に映った様子は幻想的です。感動的なフィナーレで6日間のお祭りに幕が閉じます。

青森ねぶた祭りだけじゃない!県内の「三大ねぶた祭り」とは?

青森県では青森市の「青森ねぶた祭り」が有名ですが、実は県内の複数の地域でねぶた祭り(ねぷた祭り)が開催されているのです。その中でも特に人気を集めている祭りが、弘前市の「弘前ねぷたまつり」と五所川原市の「五所川原立佞武多(ごしょがわらたちねぷた)」の二つ。

青森ねぶた祭り、弘前ねぷたまつり、五所川原立佞武多は「青森三大ねぶた祭り」と称されており、同じくらいの日程で開催されるためハシゴするのもおすすめです。それでは、それぞれどのようなお祭りなのか見ていきましょう。

青森県弘前市|弘前ねぷたまつり

「弘前ねぷたまつり」は、毎年8月1日から7日までの期間に青森県弘前市で行われるお祭りです。農作業の忙しい夏の時期に睡魔を追い払うための農民行事から生まれたといわれており、1980年には国の重要無形民俗文化財に指定されています。

弘前ねぷたまつりのねぷたは、最大9メートルほどの、大型で扇型の形状が多い点が特徴。扇型のねぷたに、三国志や水滸伝などの逸話をモチーフにした壮大な絵が描かれています。「ヤーヤドー」の掛け声とともに、約70台のねぷたが弘前市内を練り歩く様子が見られますよ。

運行の際には、ねぷたにつながれている縄をみんなで力を合わせて引っ張ります。団体によっては飛び入りで参加することもできるため、実際にねぷたを引っ張って地元の人たちと仲よくなるのも良いでしょう。

青森県五所川原市|五所川原立佞武多(ごしょがわらたちねぷた)

青森県五所川原市の「五所川原立佞武多(ごしょがわらたちねぷた)」は、毎年8月4日から8日にかけて開催されます。五所川原立佞武多は名前の通り立っているように高さのある立佞武多が特徴で、高さ約23メートル、重さが約19トンもの大型です。優美な模様が描かれた土台に、絶妙なバランスで人形型の灯篭が乗っている様子は、荘厳で躍動感があります。

五所川原市にある「立佞武多の館」では、立佞武多が常設展示されています。お祭りでは見ることが難しい立佞武多の上部の様子も見られるようになっており、間近で見られる貴重な場所です。

青森ねぶた祭りと一緒に楽しみたい東北四大祭り

東北地方の夏は、青森ねぶた祭り以外にも歴史あるお祭りが多数開催されます。

青森ねぶた祭りに、秋田竿灯まつり、仙台七夕まつり、山形花笠まつりを加えた4つのお祭りは「東北四大祭り」として大きな人気を集めています。以前は山形花笠まつり以外の3つのお祭りで「東北三大祭り」といわれていましたが、近年は四大祭りとなりアップグレードした東北地方のお祭り。日程が合えば、すべてのお祭りをコンプリートするのも良いですね。

それでは、それぞれのお祭りの特徴を紹介します。

秋田県秋田市|秋田竿燈まつり

秋田県秋田市で開催される「秋田竿燈まつり」は、毎年8月3日から6日の期間に開催されます。46個の提灯を吊るして稲穂に見立てた「竿燈(かんとう)」を、手のひらやひたい、腰などでバランスを取りながら支えます。支えたり移し替えたりするには熟練の技が必要となるため、まさに職人芸ともいえる技を見ることができ、観客も一体になって白熱できるお祭りです。

宮城県仙台市|仙台七夕まつり

8月6日から8日にかけて行われるのが、宮城県仙台市の「仙台七夕まつり」。仙台駅から続く商店街に、豪華絢爛な笹飾りが並びます。笹飾りは長さ10メートル以上もある竹を切り出し、手作りで制作します。色とりどりの笹飾りの間を縫って歩くのが、仙台七夕まつりの醍醐味といえるでしょう。短冊や紙衣、折り鶴などの七つ飾りがどこに飾られているのかを探しながら歩くのも楽しいですよ。

山形県山形市|山形花笠まつり

8月5日から7日には、山形県山形市で「山形花笠まつり」が行われます。豪華な山車を先頭に、あでやかな衣装に身を包んだ踊り手たちが、花笠音頭に合わせて躍動感のある踊りを披露します。踊り手たちは山形県花である「紅花」をモチーフに飾った笠を持って踊るので、山形の街が一気に華やかに輝く点が特徴。花笠踊りには「女踊り」や「男踊り」などさまざまな種類があり、それぞれの違いを楽しむのも良いですね。

夏は青森ねぶた祭りで楽しもう!

青森県の夏といえば、多くの人がイメージする「青森ねぶた祭り」。大迫力で勇壮なねぶたを見ていると、夏の疲れも吹き飛ぶくらいのパワーをもらえます。また、ハネトとなって参加したり、プレミアム観覧席で優雅に観覧したりするなど、さまざまな楽しみ方をするのもおすすめです。日程が合えば、青森三大ねぶた祭りや東北四大祭りにも訪れ、東北地方の夏祭りを最大限に楽しんでくださいね。

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nami

東北生まれ・東北育ち・東京在住。家族やペットとのアウトドア(キャンプ、アウトドア飯)、お出かけが趣味のママライターです。

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