【コラム】ビル・ゲイツさん、業務出張はそんなに減りません。

  • 2021年3月26日

 コロナによる働き方や生活様式の変化により、コロナ後の業務出張需要は恒久且つ大幅に減るだろうと言うのが今の大方の見方だと思います。ご存じのようにビル・ゲイツさんは「恒久的に需要は半減」と公言しています。

 しかし、日本企業の国内外出張需要に関しては、最終的には2019年比で7〜8割までは戻るのではないかと考えております。

 この1年、オンライン会議や商談が中心となり、我々はその利便性、移動時間・コスト削減効果を実感しました。また、参加者の発言機会の平準化や会議時間の短縮、ライブで参加出来ないスタッフの事後録画視聴等、オンラインならではのメリットがある事も知り、これまでの出張の内一部はオンラインで代替可能、むしろオンラインにすべきだとの認識になっているかと思います。

 一方、リアルでの交流がいかに重要かつ必要かを痛感した1年でもあったかと思います。社内・社外問わず、微妙な表情や声音の変化、所作から感じ取る人の感情、相対して話しをすることによって得られる親近感や一体感、これらは実際に顔を合わせることによってのみ得られるものです。また、直ちに効果として表れはしませんが、非日常がもたらす気づきや感動、移動時間を思索にふける時間に充てることの効能を再確認された方もいるでしょう。

 一部の出張は無くなるでしょうが、それはコロナ及びそれによる影響が主因では無く「元々不要だった」訳で、それが流石に全体の半分を占めるとは考えられず、更にはリアルの効能を再発見した事による新たな需要もあり、ビル・ゲイツさんの予想に異を唱える次第です。

 影響力のある人物の発言は往々にして「正しい」と認識され、それを参考・前提に判断されがちです。今こそ、リアルな出張の意義、これまで以上に求められる環境や地域への配慮・貢献の方法、旅行会社ならではの有事対応等々を業界が一丸となって発信していく事が必要だと考えます。

岡田直樹
㈱エフネス代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人。27歳でエフネスの前身㈱ルゥエストを創業し、31周年にあたる今年に至る。旅行素材のホールセール、観光関連企業への決済サービス提供、緊急対応代行、業界誌トラベルビジョン運営等々、主に観光産業内のB2B事業に携わる。
㈱ティ・エス・ディ代表取締役、一般社団法人インバウンドデジタルマーケティング協議会理事