ディスラプターAirbnbの衝撃-シェアリングエコノミーを分析する

CtoCモデルのターゲットは全世界70億人
今後のエアビーの可能性を考察

遊休資産活用としてのエアビー

 ここでは、エアビーの遊休資産の活用という側面にフォーカスを当ててみたいと思います。みなさんは、遊休資産と言えば、何を思い浮かべますでしょうか?車、駐車場、家、別荘、オフィスなどでしょうか。

 例えば、自家用車は時間にして5%程度しか稼働していないと言われています。つまり95%は遊休資産となっています。Google等が開発を加速している自動運転が実現すると、この95%の遊休時間で勝手に自家用車がネットワーク上に乗り、タクシーとして機能させ、また元の場所に戻ってくることができると言われています。つまり、遊休資産である車が副業をする時代になるようです。夢のような時代ですね。

 ちょっと話は脱線しましたが、自家用車の例のように、世の中は遊休資産であふれています。駐車場もakippa(あきっぱ)などによってシェアリングエコノミーになっていますし、家もその一つです。日本の空き家は15%程度あると言われていますし、今後、少子高齢化や人口減少に伴い、この空き家率は増加していくことが予想されています。そこをエアビーが解決するかもしれません。

 例えば、相続をして田舎にさらに家がある人、子供が巣立って自宅の部屋が空いている人、2~3週間の長期の出張や旅行に行く人、海外に駐在する人、みんなエアビーで家を貸せます。もう少し大規模にやるなら、株式会社を設立し、空き家をリノベーションして貸し出すこともできます。

 ご存知でしょうか。テニスのウィンブルドン選手権では、試合が行われる3~4週間を民泊としてテニスプレイヤーに貸し出し、その間ホストはどこかへ旅行するそうなんです。それで、1年間暮らせるような生活費を稼ぐ人もいるそうです。つまり民泊に宿泊したいという需要は確実に存在し、自宅を貸し出すことで副業にもなるということですね。エアビーは、特別な投資を必要とせず、今ある遊休資産を活用できる、社会的な価値・意義もあると言えます。

公共(旅行)インフラとしてのエアビー

 公共(旅行)インフラとしての側面にも触れておきたいと思います。かつてエアビーは、様々な自治体と揉めたり、相当なバッシングを受けていました。例えば、パリでは民泊でパリ中心部の家賃が何十パーセントも上昇し、パリ市民が中心部に住めなくなったとバッシングを受けたり、日本でも違法民泊の問題があったり、ゲストがゴミの分別をしないなど住民とトラブルになることも数多くありました。民泊に法整備が追い付かず、そしてエアビー側も当初は聞く耳を持たなかったため、バッシングはエスカレートしていきました。

釜石市との観光推進の連携 ©Airbnb

 ただ、エアビーのスタンスも2016年のリオデジャネイロオリンピックの公式パートナーになったあたりから変わってきたと思います。自治体と対立するのではなく、地方の需要開拓などで協力できる部分は協力したほうが得だと判断し始めたのだと考えています。

 釜石市との観光推進の連携や新宿区との適正な民泊運営などで連携し、法令順守はもとより、インフラとしての側面を徐々に意識し始めたのだと思います。こうなれば、自治体と協力し宿泊場所を獲得できますし、よりローカルな体験、「暮らすように旅する」というコンセプトが強化されていくのではないでしょうか。

 エアビーはユーザーの部屋を利用するので、地域に対する貢献や法令順守が必要ですし、自治体も一時的に需要が急増するようなスポーツイベントなどでは積極的にエアビーを活用できるわけです。Win-Winの関係ですし、今後は民泊が、より旅行インフラ的な要素を持ってくると思います。

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