JALグも2Qは利益2桁減、米中摩擦が影響-通期は売上のみ修正

  • 2019年10月31日

菊山氏(左)  JALグループは10月31日、2020年3月期第2四半期(19年4月1日~9月30日)の連結業績を発表した。売上高は前年比1.3%増の7598億4400万円となったものの、利益面ではANAホールディングスと同様に米中貿易摩擦の影響を受け、営業利益は16.0%減の813億1600万円、経常利益は12.5%減の825億5000万円、純利益は30.2%減の512億300万円と、いずれも2桁減となった。純利益の大幅な減少は、今年度からの実効税率上昇によるもの。

 同日の決算発表会見に出席した取締役専務執行役員財務・経理本部長の菊山英樹氏によれば、国内線旅客事業こそゴールデンウィークの10連休効果もあり「非常に良く、史上最高水準を更新した」ものの、国際線における業務渡航需要や貨物需要は米中貿易摩擦の影響により不調。あわせて中国路線などの競争激化、20年の首都圏空港発着枠拡大を見据えた先行投資なども利益を押し下げた。営業費用は3.9%増の約6785億円、営業利益率は2.2ポイント減の10.7%だった。

 なお、営業利益などの数値は、今年度から航空部品などの償却方法を変更していることが影響しており、変更しなかった場合の「実質の」数値は、営業利益が10.6%減の865億円、営業費用が3.1%増の6733億円、営業利益率が1.5ポイント減の11.4%と、いずれも減少幅は小さくなるという。

 国際線の旅客収入は1.2%減の2660億万円で、有償旅客数は0.5%減の460万5000人。座席供給量を表す有効座席キロ(ASK)は2.5%増となったものの、旅客輸送量を表す有償旅客キロ(RPK)は0.9%増にとどまった結果、有償座席利用率は1.3ポイント減の81.1%となった。単価は0.7%減の5万8061円、イールドは2.0%減の11.7円、ユニットレベニューは3.5%減の9.5円だった。

 国内線の旅客収入は3.3%増の2768億円で、有償旅客数は3.4%増の1800万6000人。ASKは1.7%増、RPKはゴールデンウィークの10連休効果や、若年層の取り込みなどにより4.4%増となり、有償座席利用率は1.9ポイント増の74.0%となった。レジャー客が好調の要因となったことから単価は0.2%減の1万5375円、イールドは1.1%減の20.3円とそれぞれ減少。ユニットレベニューは1.5%増の15.1円だった。

 なお、報告セグメントに含まれない、旅行企画販売事業など「その他」の売上高は2.2%増の1514億6400万円で、セグメント利益は2.5%増の84億9000万円。貨物郵便事業の売上高は9.3%減の約451億円だった。

 19年度の連結業績予想については、米中貿易摩擦の影響が第2四半期に入り色濃くなり、「不透明感が強い」ことから、売上高を下方修正し、当初予想比3.0%減、前年比1.9%増の1兆5160億円に。一方で、利益についてはコスト削減強化により全項目を据え置き、営業利益を3.5%減の1700億円、経常利益を3.4%増の1710億円、純利益を24.4%減の1140億円のままとした。

 菊山氏は、韓国路線と香港路線については、ともに売上高に占める割合が2%程度であることから、全体への影響が「クリティカルではない」と述べ、大きな引き下げ要因とは見なしていないことを説明。台風19号の影響については売上高で50億円から60億円、利益面で20億円から30億円程度のマイナスを見込むと述べた。そのほか、全日空(NH)のA380型機投入などを受けて競争が激化しているハワイ路線については「期初で最も心配し、座席供給量を下げたが、サービスの強化などが実を結び計画を上回っている」と伝えた。