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専門性で生き残る:アフリカ旅行の道祖神

同好会のように設立、社員の興味を商品化
「小さな一流会社」めざして50周年へ

-日本におけるアフリカ旅行市場は、これまでどのように変化してきましたか
菊地氏 菊地 病気やテロがあれば数字は落ち込むものの、この40年間で見れば日本人旅行者の数は微かながら増加傾向にあると思う。当社のお客様は約半分がリピーターで、新規のお客様についてはインターネットの検索結果や、ツアー参加者の口コミから入ってくるケースが多い。

 アフリカ旅行は、民族や文化をフックにするならアフリカ西部、動物なら東部、自然なら南部と大きく3つに分けられる。このなかで最もボリュームが大きいのは東部で、やはりケニアやタンザニアでのサファリの人気が高い。2番目は南部で、南アフリカ共和国に加えて、砂漠や渓谷など豊かな自然が魅力のナミビアやボツワナが注目を集めている。西部はエボラの流行でツアー数が減ったが、それでも引き続きいくつかのツアーを催行している。

-道祖神のツアーの特徴を教えてください

菊地 万人向けの商品を作るのではなく、あくまでも「得意分野」や「感動」を商品化しており、ツアーの催行人数は最大で12名までとしている。ニッチな需要に応えているため、旅行代金はどれも数十万円するが、参加してくださるお客様は常に一定数いらっしゃり、利益は出せている。

 現地では四輪駆動車や小型のバスなどで移動するツアーが多いが、その際には全員が窓側の席を確保できるようにし、サファリなら1つのポイントに2、3泊するなどして満足度を高めている。また、1つの国にできるだけ長く滞在するようにし、地元の人々や生活、文化に触れることができるように努めている。

 基本的には、それぞれの社員が行きたい場所や興味を持ったことを商品化し、添乗もするというスタイルだ。「自分が楽しいと感じた旅を、お客様にも楽しんでいただきたい」というあり方は昔から変わらない。私自身も30年間好きにさせてもらったので、熊澤から受け継いだ社風として、社員の積極的な姿勢を尊重している。

-最近のおすすめのツアーにはどのようなものがありますか

菊地 チュニジアの砂漠をラクダと一緒に100キロメートル歩く旅や、ケニアのラム島からタンザニアのザンジバル島までを木造帆船の「ダウ船」で巡る島旅などは、当社ならではのユニークなツアーと言える。自分たちで食事を作りながら改造トラックで複数の国を旅するツアーや、コンゴ川のフェリーで「コンゴ共和国」から対岸の「コンゴ民主共和国」へと渡るツアーなども人気だ。いずれも企画した社員が自分で行きたい場所を商品化しているので、思い入れが強い。

-道祖神の強みは何でしょうか
菊地 40年もの年月をアフリカに注いできたので、現地のランドオペレーターと太いパイプがあることだ。何かあった際にも、現地の最新情報がダイレクトに入ってくることは大きい。また、現地の情報はできるだけ自分たちの目で確かめたいと考えているので、現地に駐在員を置くことにはこだわっている。