エアプラス、平成の30年間と歩んだ「純国産OTA」の新展開は

日本人FITに焦点、BtoBプラットフォーム事業も
他社との「部分的共存」で生き残りへ

-国内外の競合他社と比べて、エアプラスの強みは

岡田氏 岡田 当社は創業以来、「ご渡航される方に『便利』を提供する」をミッションとして掲げている。そのためには、最先端技術に支えられた販売システムと、ユーザーの満足を最優先に考えたオペレーション体制のバランスの良い両立が不可欠だ。AIなどの先端的な機械技術が何かと注目される時代だが、創業時の精神を貫き、純国産の日本企業としてOTA事業に向き合い、日本に在住するユーザーとのつながりを大切に保てるサービス作りこそが強みになると考えている。

 日本のユーザーがすべて機械的なAIによるサービスを望んでいるかというと、必ずしもそうではない。人肌が感じられるUIに共感して、購入していただけることがまだまだ多いのではないか。日本人に気に入ってもらえるサービスが一番の差別化ポイントだと思う。

 そのために、カスタマーサポートのための部署を設けている。トラブルが発生した場合、お客様と航空会社やホテルとの間に入って、クレーム対応もする。我々は購買代理店として機能しているので、その対応もしっかりとしていきたい。

-今後の戦略や課題についてお聞かせください

岡田 新規顧客の取り込みも重要だが、リピーターとはUIやアフターケアに求めるレベルが若干違い、基本的には旅慣れた方に便利に使っていただけるような工夫をしている。また、お客様からのフィードバックを取り入れてシステムの改善につなげており、自社ブランドのブラッシュアップだけでなく、他社に提供するプラットフォームでも活用している。

 プラットフォームの提供開始から7年ほど経つが、同じプラットフォームを提供しても、提供先のブランドによって、売れる商品や価格帯が異なることが分かってきた。方面や航空会社などの売れ筋や価格帯などにも明確に違いがあり、こうしたニーズに対応したソートオーダーのカスタマイズなど、見せ方が今後の課題だと考えている。

 加えて、現在はモバイルのUIも重要だと認識している。当社でも3年くらい前からPCとモバイルの割合は変わってきた。商品検索などの情報収集は圧倒的にモバイルの方が多いが、最終的な予約のコンバージョンはPCとモバイルでほぼ同じ程度になっている。

-旅行業の販売や流通は大きく変化していますが、今後のビジネス展開で重要なことは

岡田 以前は格安航空券の取扱量が圧倒的に多かったが、ここ数年は航空会社の施策で公示運賃が主流となっている。公示化したマーケットでは、航空会社のイールドコントロールされた動的運賃を上手にハンドリングする能力が重要だ。また、サプライヤーが直販でベストレートギャランティを出す時点で、過去のように商品価格の安さで差別化する商法は歯が立たなくなっている。

 直販化の動きも進んでいるが、たとえどこかの航空会社が安く航空券を販売していたとしても、そのためにエンドユーザーがすべての航空会社のウェブサイトをチェックしなければならないとなると、それが便利かどうかは疑問だ。当社はそれを集約し、比較し、長所を示して、一番選びやすいものを提供していく。「どうすればお客様が希望にあったものを探せるのか」ということを追求するのが当社の仕事だと思う。