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楽天子会社がめざす業界活性化、WTS新社長の成長戦略とは

ホールセラーから「総合旅行サービス会社」へ
BtoBとOtoO推進、社員待遇改善に意欲

今後のWTSの方向性や役割をどう考えていますか

ディマント 楽天が第4のキャリアとして携帯電話事業に参入するが、おそらくその軸となるのが5G。インターネットのスピードは飛躍的に向上し、今後は今まで以上に我々の生活はインターネットなしでは成立しなくなるだろう。

 しかし、日本、特に旅行業界はOtoO(オフラインtoオンライン)戦略の分野で非常に遅れている。WTSの一番の役割であり課題となるのが、いかにオフラインとオンラインを融合して新しいビジネスにつなげていくか。

 これまではホールセラーという位置付けだったが、今後は、総合旅行サービス会社としてのブランディングを積極的に進めていきたい。単なる航空券販売業に留まらず、旅行会社の情報インフラ整備や最先端技術導入における助言、業務提携なども考えている。丁寧にヒアリングしながら、発券以外の分野でも協力できる部分を見つけ、さまざまな企業とコラボレーションしていきたい。

 我々1社が伸びるだけでは日本の旅行マーケットは活性化しない。大事なのは「共存」だ。楽天は最先端のものに積極的に投資をしてきた。楽天グループとして持っているリソースや開発力、ノウハウを、WTSを通じて他の旅行会社に提供し、意見交換しながらともに作っていくイメージを持っている。

総合旅行サービス業への移行において楽天との関係はどうなるでしょう

ディマント WTSは楽天にとってサプライヤーの1社であり、同時に楽天ができない部分を手がける存在でもある。オンラインとオフラインの役割を分担しながら、グループシナジーを最大化したい。楽天は1億超の会員とともに、カード、銀行、スポーツ、楽天市場など、経済圏を持つ。会員のデータベースを活用し、複数の事業をどうつなげ、どうリピートさせるかが大事。楽天の成長とともに、発券するWTSも成長し、BtoBに積極的に投資できるようになるというサイクルを考えている。

旅行業界活性化のチャンスはどこにあると思いますか

ディマント 旅行を旅行代金だけで考えると利幅は限られているが、サービス、広告や決済など旅行を取り巻く要素は多様だ。それらをどのような形でつなげていくかがポイントだ。いかに新しいものに積極的に投資をして開拓するかがカギになるだろう。テクノロジーへの積極的な投資により人件費も削減できる。

 楽天グループのデータを活用することで、マーケティングの費用対効果を高めることも可能だ。収入面だけではなく、経費の考え方を変えていくことにより、収益は安定的に確保できると考えている。

 また、さまざまな商品開発によっても利幅は広げられる。楽天経済圏のなかで、例えばスポーツチームのコンテンツを旅行商材とし、他社が取り扱えない商品を販売できる。総合旅行サービス会社への移行をめざすなかで、我々にしかできないものを全面に出すことで収支はコントロールできるのではないか。必ずしもコミッションモデルだけの話だとは思っていない。