京王観光、JR券で不正発覚-JRは再発防止策検討へ

  • 2019年1月10日

 週刊文春の報道により、団体旅行でJR各社を利用する際に、乗車券を実際の参加者数よりも少なく発券する不正を続けていた疑いが指摘された京王観光は1月10日、不正行為を認める声明を発表した。「大阪地区の支店内で、発券と使用について不正を行った事実に相違はございません。深くお詫びを申し上げます」と謝罪している。不正行為があった期間や総額、関係者の処分などについては「実態を調査中」とのみ述べている。報道によれば被害総額は2億円以上に上る可能性があるという。

 1月8日に京王観光からの報告を受けた観光庁は、本誌の取材に対し「旅行者に対して直接的な被害はないものの、取引の公正を謳う旅行業法に照らし合わせれば非常に遺憾」とコメント。8日に報告を受けた際には、不正があった期間や総額、上級職や役員などの関与に加えて、不正の具体的な手法について質問したものの「報道で紹介された以外の手法も存在する可能性が考えられる」と見られたから、同社にはさらなる調査を要請し、報告を待っている状況という。今後の処分の見通しについてはノーコメントとした。

 JRグループは、乗車券の発券を委託する旅行会社各社に発券のためのシステム端末(MARS)を貸与しており、他の旅行会社への影響も懸念されるところ。これについて本誌の取材に応えた東日本旅客鉄道(JR東日本)は、現在は京王観光の調査結果などを待っている段階で他の委託先については未検討としつつ、将来的にはなんらかの再発防止策を考える必要は認識していると回答した。

 週刊文春の当該記事では、不正は大阪支店と大阪西支店(昨年11月に統合)の2支店でなされ、これらの支店はツアー参加者の乗車券を、実際の参加者数より少ない枚数で発券。駅の改札口では同行する社員などが参加者数の乗車券を一度に提出し、信頼関係にあるJRの駅員が枚数確認をしないまま通過させており、一定の参加者が不正乗車した形となった。正規発券分と過少発券分の差額が、同社の不当な利益になったと見られる。