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週間ランキング、1位は三越伊勢丹ニッコウトラベル、クラツー女性ブランドも

[総評] 今週の1位は、三越伊勢丹旅行がニッコウトラベルを吸収合併して「三越伊勢丹ニッコウトラベル」となることをお伝えした記事でした。三越伊勢丹ホールディングスは経営の課題が報道などで取り上げられることもあるものの日本を代表する企業のひとつであり、旅行子会社において百貨店の顧客を中心とした富裕層にどのようなサービスを提供するか、非常に高い注目が集まります。

 また、この順位については、12月5日朝刊のメール件名に「ニッコウトラベルのブランド消滅へ」と記載したことによって思わずクリックされた方もかなり多かったのではないかと感じています。

 実際には、冒頭の通り厳密にはブランドがなくなるわけではなく、件の文言は適切ではなかったと反省しております。トラベルビジョンにとってメールニュースは生命線で、まずはなんとかして開封していただかなければ中の記事に目を通していただけないということで日々件名を工夫しており、場合によって刺激的な文言を選ぶこともあるのですが、今回のものは度を越しました。関係者と読者の皆様にお詫びし訂正いたします。

 続いて第2位には、Ctripが運営する「trip.com」によるたちの悪い振る舞いがランクインしています。希少価値の高い繁忙期の客室について、在庫があるかのように表示し、しかも通常よりも高額かつ返金不可という条件で予約を受け付けたが実際にはキャンセル待ちだった、という案件です。

 詳細までは見えてきておらず、今後何らかの処分があるのかも分かりませんが、Twitterなどを見てみると中国が中国がと判で押したような投稿が続いているところで、旅行会社の安心感に繋がるという意味ではむしろ追い風となる可能性も少しはあります。また、中国感を消したせっかくのtrip.comが炎上したことは彼らにとって少なからず打撃でしょう。とはいえ、こんな程度でCtripの経営に大打撃が及ぶことも絶対にないわけですから、特に業界関係者としては泰然と成り行きを観察するのが吉ではないかと思います。

 さらに3位に入ったのは、クラブツーリズムがこのほど立ち上げた女性向けの専用ツアーブランド「旅するしあわせ。fufufu(ふふふ)」について、ご担当者のお話をお聞きしてきた記事でした。ツーリズムマーケティングにおいて戦略的に女性がターゲットとなることは極めて多く、女子旅プランであるとか夜行バスの女性専用車両などの例もごく一般的ですが、クラブツーリズムほどの規模の旅行会社が独立したブランドでツアーを販売するのはほかに記憶がありません。

 クラブツーリズムは言うまでもなくシニアに強い会社であり、若い世代の顧客開拓は必然の課題でしょう。そうしたなか、2012年に開始していた女性限定ツアーは平均年齢が若くなる傾向があったとのことで、その延長として今回のような展開に至ったこともごく自然な流れであると感じられます。

 「性」というのは難しいもので、かなり以前の記憶ですので詳細や真偽は不明ですが、ある会社が「メンズ○○(アジアの都市名)」というツアーを作ってスポーツ新聞に広告を出したらあっという間に日本旅行業協会(JATA)かどこかから電話がかかってきて問題になった、という話を聞いたことがあります。

 この構図において責められるべきはその会社かもしれませんが、旅行の需要はあるのに旅行会社が儲けられていない、と捉えると汎業界的な課題との共通性を感じます。需要自体を責めるべきかもしれませんが、どうもそれが存在しない世界というのも想像できません。

 今週「クリスマスの定番曲、#MeToo運動受け放送中止に 米ラジオ局」という記事を目にし読んでみると、「Baby, It's Cold Outside(外は寒いよ)」という有名曲の「男性が女友達に一夜を共にしようと説得を試みる歌詞」がセクハラ的と批判されているという話でした。ハラスメントと無縁と主張できるほど高潔な生き方をしてきた自信はなくコメントするのもはばかられますが、それにしてもそうした制約の先には何が待っているのかと思ってしまいます。

 また、同じくYahoo!ニュースで「あえて女性を参加させない「ハラミ会」はアリか? 議論巻き起こる」という記事もありました。失敗を避けるために、誰かを傷付けないようにするために、通勤列車の男性専用車両のように予防策を求めたくなる気持ちは分からなくもないわけですが、それがまたハラスメントになるかもしれないというのはもはや将棋でいえば「詰んだ」状態であるように感じます。

 話が相当それてしまいましたけれども、さらに視点を変えると、「fufufu」はトランスジェンダーのお客様をどう受け入れられるのか、というような話も出てくるわけです。こうして様々な軸で考えていくともはや思考がまとまることは永遠になさそうですが、逆にいえば性にまつわる話題はこれだけ豊富であり、それだけ人間にとって、生物にとって根源的なものであることの現れであり、むしろそこに大きなビジネスチャンスがあるという証なのではないかとも思います。(松本)

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