エミレーツ新支社長、日本での事業拡大語る-関空のA380に勝算

  • 2018年8月30日

アルマリ氏  エミレーツ航空(EK)は8月30日にメディア向けの懇談会を開催し、2月に新たな日本支社長に就任したサレム・アルマリ氏が今後の日本市場における事業方針について語った。EKは現在、ドバイ/成田、羽田、関空線をそれぞれデイリー運航しているが、成田線は昨年にB777-300ER型からA380型機に、羽田線は今夏にB777-200LR型機からB777-300ER型機にそれぞれ変更。10月28日からは関空線もB777-300ER型機からA380型機に変更する。同社によればA380型機が長距離便として関空に就航するのは初めて。

 A380型機の座席数はファーストクラス14席、ビジネスクラス76席、エコノミークラス399席の計489席で、B777-300ER型機と比べて約38%と大幅に増える。アルマリ氏は関空線へのA380型機投入の勝算として、競合関係にあったカタール航空(QR)とターキッシュエアラインズ(TK)が近年相次いで関空線から撤退し、上級クラスを中心に需要の取り込みが見込めることを説明。本誌の取材に対しては、日本人・訪日外国人ともに利用者数が増えており、搭乗率が首都圏の2路線を上回ることも明かした。3路線の平均搭乗率は約80%という。

A380型機  なお、今年はEKがドバイ/ニューヨーク線に初めてA380型機を導入してからちょうど10周年。同社は現在、世界最多となる104機のA380型機を保有しており、さらに58機の導入を予定する。クウェート線のような短距離路線から、オークランド線など長距離路線まで幅広く使用しており、関空線は50番目の投入路線。9月4日までは就航を記念し、エコノミークラスとビジネスクラスで特別運賃を設定する。

 アルマリ氏は、支社長在任中には日本市場でもさらにブランド力を強化し、消費者が高価格であっても求める「ライフスタイルブランド」へと高めることに注力する考えを表明。また、社名についてはある程度浸透していても、プロダクトやサービスなどの詳細については「まだまだ認知度が低い」との見方を示し、訴求に努める考えを示した。例えば機内食については食べ残しのデータなども収集して、各市場でサービスのカスタマイズに努めているといい、このような改善に向けた努力も含めてアピールを続けたいという。

 日本市場については、20年の東京五輪や首都圏空港の発着枠拡大に加えて、EKもスポンサーを務める19年のラグビーワールドカップ大会などがあり、拡大の可能性を秘めていることを強調。また「他国と違い、細かな心配りを評価したり、テクノロジーの浸透の仕方やスピードが独特だったりするところがあるが、そこが日本らしさ」と述べ、市場の特性に配慮する姿勢を見せた。また、EKはこれまで全世界で統一的な広告展開を実施してきたものの、近年では米国市場を意識して米国人女優を起用するなど、方針を転換していることも説明。「個人的には日本の芸能人を起用してみたい」とも語った。

 そのほか、現在はウェブサイトでの直販に注力しているものの、日本市場ではLCCなどを除けば直販化はあまり進んでいないと指摘。その上で「旅行会社が大きなシェアを持っていることをリスペクトしている」とコメントした。「往復航空券とホテルの予約など、簡単な予約はオンラインで済むが、複雑な旅程の手配などは引き続き旅行会社に求められる。2つのフィールドは大きく違う」との考えから、引き続き関係の構築に努めるという。