ドイツ、「美食の国」を強調、ソーシャルメディア活用

  • 2018年5月28日

西山氏  ドイツ観光局はこのほど、東京のドイツ大使館で毎年恒例のプレス発表会を開催した。訪独外国人観光客についての統計や年間のプロモーションテーマを紹介するもので、発表会では、まずドイツの観光統計に関して説明。2017年の外国人宿泊数は初めて8000万泊を突破し、日本人については12年の132万5544泊をピークに減少を続けていたが、16年の106万9613泊を境に再びプラスに転じ、17年は114万6660泊を記録したという。18年は前年比4%の増加を見込んでおり、アジア・オーストラリア地区統括局長の西山晃氏は「このトレンドが今年も続けば」と期待を込めて語った。

 なお、日本人の旅行動向については、86%がインターネットを利用して計画または予約されているとの統計結果を挙げ、団体旅行からFITへ移りつつあることを説明。インターネットを通じた旅行販売はフランクフルトやミュンヘンといった日本からの直行便がある大都市に集中しやすく、ロマンチック街道観光の拠点であるローテンブルクやフュッセンといった、これまで日本人観光客が大きく貢献してきた小都市は下火になりつつあることなどを伝えた。

 本誌の取材に応えた西山氏は「ドイツは一極集中ではなく分散型の国なので、我々としても各地域からの協力を得るためには大都市だけを重点的に売るというわけはいかない。その中で周遊型ツアーなど旅行会社の商品が果たせる役割は大きい」と説明。「旅行会社の役割は大きく問われている。特に言葉の壁がある日本は、ツアー商品でまだ多くの消費者を誘導できるマーケットと考えている」と述べた。

 西山氏は続いて、今年のプローモーションテーマ「美食の国ドイツ」について説明し、「ドイツがとても質の高いファインダイニングが楽しめる国ということを紹介したい」とアピールした。「美食の国ドイツ」ではドイツワイン・インスティテュートの日本支部である「ワインズ・オブ・ジャーマニー」をパートナーとし、ファインダイニングとワインを合わせた食文化のピーアールを展開。16ある連邦州からそれぞれ代表的な郷土料理をピックアップしてオンライン媒体を通じて紹介する。約2万人のフォロワーを有するTwitterなどソーシャルメディアも活用し、ドイツ在住の日本人インフルエンサーとも協力して情報発信をはかるという。

同日には日独ロマンチック街道の姉妹街道締結30周年を記念した共同文書の署名式も実施  そのほか、日本国内ではフードトラックを活用したイベントや、料理研究家を招いてのクッキングイベントなどの展開を予定する。西山氏は「ドイツというとソーセージやビールなど、日本ではB級グルメにあたるような食文化がよく知られているが、プレミアムなファインダイニングや豊かな郷土料理があることも知っていただきたい」と意気込みを語った。

 なお、この日はドイツワインの試飲会とドイツ大使公館での夕食会も開催。ニーダーザクセン州の名物で、春の味覚であるシュパーゲル(ホワイトアスパラガス)や、ワインズ・オブ・ジャーマニーのセレクトによるドイツワインが出席者に振る舞われた。