若者海旅検討会、大学に制度的協力を要望-次回取りまとめへ

  • 2018年3月29日

 観光庁は3月29日、「若者のアウトバウンド活性化に関する検討会」の第3回会合を開催し、事務局が提言の骨子案を示した。終了後に本誌の取材に応えた観光庁によれば、提言には20代の海外旅行減少の現状、減少に起因する経済・非経済面の影響分析、現状が継続する場合の問題点、問題点を克服・回避するための課題、課題解決のための具体策の5点を盛り込む考え。このうち具体策については、詳細は明かさなかったものの、観光系学部を持つ大学などにカリキュラムの範囲内で海外を訪れる機会を設けること、学生が留学しやすい4学期制を導入することなどを提案するという。

 この日の意見交換では出席委員から「人材育成のため、企業にも若手社員を海外に派遣する取り組みをお願いしたい」との意見や、留学促進の取り組みの必要性を指摘する声などが挙がった。留学促進について、オブザーバーとして参加した文部科学省は協力する姿勢を示すとともに「留学のための入口としても、(大学などには)海外旅行促進の取り組みをお願いしたい」とコメントしたという。

 なお、提言の「現状が継続する場合の問題点」については、グローバル人材の不足を挙げる予定で、それを受けた「克服・回避するための課題」では海外旅行や留学、海外での就労などの体験を拡充するために、官民連携でムーブメントを起こす必要がある旨を盛り込む方針。そのための具体策として「社会や教育に貢献できる手段」としての海外旅行のアピールや、現地での体験や学習などを組み込んだ旅行商品の認知度向上と増加についても取り組む。

 次回の会合の開催時期は未定だが、最終的な取りまとめの議論をおこない、その後に事務局が取りまとめる予定。なお、当初は来年度上旬に策定予定の「観光ビジョンの実現に向けたアクション・プログラム2018」に反映することも検討していたが、今年度内に取りまとめに至らなかったことなどもあり、反映の可否については「現時点ではわからない」という。