ジェットスターA、日本線は「着実に成長」-CEOが来日

  • 2018年3月27日

パスパティ氏  シンガポールに本社を置くジェットスター・アジア航空(3K)の最高経営責任者(CEO)を務めるバラタン・パスパティ氏は3月27日、関西国際空港で本誌の単独取材に応じ、今後の路線展開などについて語った。来日は、同日に週3便の関空/クラーク(フィリピン)線を開設したことに伴うもの。パスパティ氏は昨年11月にLCCの定期便では初めて那覇/シンガポール線を開設したことについても述べた上で「まずはこれらの新路線を着実に成長させ、東南アジアと日本をつなぐLCCとして成長したい」と意欲を示した。

 関空/クラーク線は日本とクラークを結ぶ初の定期便で、主に観光やVFRで来日するフィリピン人の増加を受けて開設したもの。3Kは10年の関空/台北/シンガポール線に続いて12年には関空/マニラ/シンガポール線を開設し、ジェットスター・ジャパン(GK)も16年に成田、関空、中部/マニラ線を開設しているが、フィリピン発の需要は好調に推移しているという。ただしマニラのニノイ・アキノ国際空港は混雑化で新たな発着枠を獲得しにくい状況にあるため、今回は同じルソン島の中部に位置し、同空港の補助的な役割を務めているクラーク国際空港からの路線開設となった。

 関空/クラーク線の利用者の7割はフィリピン発で、日本発は2割程度となる見込み。ただしパスパティ氏は、日本発については旅行会社と協力して、観光目的での利用を拡大する考えを示した。1991年までは米軍基地が置かれていたクラークだが、返還後は開発が進み、近年は新たなテーマパークや水族館などが建設されていることから「子連れの旅行者などにもアピールできる可能性を秘めている」という。残りの1割は、シンガポール/クラーク線との乗継で利用するシンガポール発の利用者となる見込み。

 パスパティ氏はそのほか、経済特別区のクラークには40社以上の日本企業が進出していることについて説明し、業務渡航需要の獲得にも意欲を見せた。予約状況については、3月末までは100%に近く、4月も現時点で関空発・クラーク発ともに60%を超えている旨を伝えた。

 関空/クラーク線に続く新たな日本路線の開設については「那覇/シンガポール線も開設したばかりで忙しい状況が続く」と述べ、当面はこれら2路線と既存の関空/マニラ/シンガポール線などに注力する考えを説明した。3Kは14年に福岡/バンコク/シンガポール線を開設したが、16年には運休している。このほどGKが拠点化した中部への乗り入れについては「興味はあるが、状況を見たい」と語るにとどめた。

チェックインカウンター脇ではおなじみの「ジェッ太」がお見送り  そのほかには、このほど発表されたピーチ・アビエーション(MM)とバニラ・エア(JW)の合併についてもコメント。「驚くことではない」と述べるとともに、日本市場では15年に国土交通省から取得したGKおよびジェットスター航空(JQ)との3社による航空協定締結の認可をもとに、コスト面などの競争力を高める考えを示した。3社は日本/フィリピン間と日本/台湾間について、独占禁止法適用除外(ATI)により運賃の低価格化を進めているところ。あわせて安全性や定時運航などにも注力し、他の航空会社との差別化をはかるという。

 関空/クラーク線の使用機材は180席のA320型機。27日の初便は関空発・クラーク発ともにほぼ満席だったという。運航スケジュールは以下の通り。

▽3K、関空/クラーク線運航スケジュール(3月27日~)
3K778便 KIX 12時55分発/CRK 16時15分着(火・木・土)
3K777便 CRK 07時00分発/KIX 11時55分着(火・木・土)