スポーツ庁がツーリズム振興に本腰、官民連携で戦略策定へ

スポーツ庁長官の鈴木氏  スポーツ庁は8月31日、都内で「スポーツツーリズム需要拡大のための官民連携協議会」の初会合を開催した。スポーツ体験・観戦と観光をともに楽しむ「スポーツツーリズム」について、官民連携で国内・訪日旅行における需要拡大と定着を促進する「スポーツツーリズム・ムーブメント創出事業」の活動の一環として立ち上げたもの。同庁は来年度に、官民連携によるプロモーションを本格的に展開する予定で、同協議会ではそのための具体的な戦略や方針について話し合う。12月までに計3回の会合を開催し、今年度中に戦略や方針を取りまとめる計画。座長は早稲田大学スポーツ科学学術院教授で日本スポーツツーリズム推進機構会長の原田宗彦氏が務める。

3庁連携のシンボルマーク  同庁は2015年に設置され、昨年3月には観光庁および文化庁と連携協定を締結。これまでには共同で、スポーツと文化資源を融合させた全国の優れた観光振興の取り組みを表彰する「スポーツ文化ツーリズムアワード」に取り組み、そのほかスポーツ庁単体でも、地域の交流促進をめざす官民連携による「スポーツコミッション」の支援などをおこなっていたが、スポーツツーリズムの市場拡大に本格的に取り組むのは初めて。「スポーツツーリズム・ムーブメント創出事業」は官民協議会の開催、マーケティング調査、プロモーションの3事業から成り立っており、今年度予算では2000万円を確保している。

 冒頭で挨拶したスポーツ庁長官の鈴木大地氏は、文部科学省と同庁が3月に、スポーツ関連施策を推進するための5年間の指針として「第2期スポーツ基本計画」を発表したことを紹介。同計画は文部科学省が12年度に発表した「スポーツ基本計画」に続くもので、21年度までにスポーツ目的の訪日外国人旅行者数を15年度比81.2%増の250万人に、スポーツツーリズム関連の消費額を72.4%増の3800億円にすることなどを掲げている。鈴木氏は「スポーツツーリズムは成長産業。協議会に参加された企業の皆様からさまざまな意見をいただくとともに、目的に向かって連携を取りながら協力していきたい」と話した。

会合の様子  この日の会合では、事務局が「スポーツツーリズム・ムーブメント創出事業」と協議会の役割について説明。協議会は、特にスポーツ庁が17年度の重点課題としている「アウトドアスポーツ」について、官民連携で日本のスポーツツーリズムの魅力を国内外に発信する方法、関連企業・団体が自社のビジネスの延長上で拡大に取り組む方法、国が実施すべき需要喚起活動などについて話し合う予定。また、マーケティング調査事業、プロモーション事業とも連携する予定で、調査の内容を検討し、結果をもとに今後の戦略や方針を策定。プロモーション内容の検討などもおこなう。

 マーケティング調査とプロモーション事業を受託したJTBコミュニケーションデザインは、調査の詳細を説明するとともに、内容について委員に意見を求めた。調査は9月以降、日本国内と中国・韓国・台湾・香港・米国・オーストラリア・タイを対象に、インターネット上でアンケートを実施するもので、国内は2100サンプル、海外は300サンプルを集める。委員からは「スポーツを旅行の主な目的としているケースと、旅行のついでに自転車を借りてサイクリングをするようなケースの2種類を想定し、設問を分けるべきでは」といった意見などが挙がった。

 意見交換では、観光庁や文化庁との連携強化の必要性を指摘する声が挙がった。スポーツ庁によれば、今回の会合は「スポーツをフックにした観光促進に加えて、関連企業のビジネスチャンスの創出・拡大にも取り組む」との理由から、同庁の主導で開催。観光庁はオブザーバーとして参加している。このほか、スポーツアクティビティの事業者が訪日外国人を受け入れる際、コミュニケーションやインストラクター不足などの課題があることから、国が支援するよう求める意見も挙がった。

 第2回会合は10月上旬を予定。調査事業のうち国内調査の結果について意見を交換するほか、体験型商品の予約サイト「asoview!」を介して実施する予定のプロモーションの実施案について話し合う。具体的な官民連携のあり方や、各企業の今後の取組についても議論する予定だ。