国交省、全日空に厳重注意、搭乗手続きミスで定員超過

  • 2016年10月11日

 国土交通省航空局は10月11日、全日空(NH)が9月30日に福岡発羽田行きのNH256便において、搭乗手続きをしていない旅客を搭乗させ、定員を1名超過した状態で運航を開始した事案について、航空局安全部長名で書面による厳重注意をおこなった。同省はNHに対して、8月5日に新千歳空港で発生した、エア・ドゥ(HD)による保安検査でのすり抜け事案を踏まえ、航空会社や空港などに手続未完了の旅客が搭乗しないよう再発防止を求めていたところ。書面では「類似の事案を発生させ、さらに定員超過で運航を開始させたことは、航空保安および運航の安全上極めて遺憾であり、厳重に注意する」としている。

 あわせて、NHに対しては今回の事案の原因を究明するとともに、保安検査場や搭乗口における搭乗手続きの確認手順や体制の見直し、搭乗客と客数の確実な把握などにより、再発防止策を至急検討するよう指示。25日までに文書で報告するよう命じた。

 NHによれば、同便に搭乗予定だった2人連れの乗客が、誤って同じ航空券のQRコードをダウンロード。保安検査場や搭乗口でQRコードをかざした際に重複のエラーが出たが、保安検査場の検査員やNHの地上係員はそのまま通過させた。QRコードがダウンロードされなかった分の座席はキャンセル扱いになり、他の乗客が搭乗したため定員超過となった。航空機が牽引車により駐機場から移動している最中に事態が判明し、駐機場に引き返した。同機は47分遅れで福岡空港を出発。NHのその他の便に遅延などの影響はなかったという。

 NHは再発防止策として、保安検査場でエラーが出た際はNHの地上係員に対応を要請するよう、検査員に周知徹底をおこなうとともに、NHが就航するすべての空港の検査場にNHの地上係員を配置する。搭乗口での対応については、確認手順の見直しと確認事項の強化をはかるという。