「真の女性活躍」で業界を発展-JATA経営フォーラム
LADY JATA委員会が提言
経営層・職場・女性の三位一体で推進
12年6月に、女性の視点で諸問題の改善や環境整備、販売促進などを協議するためにJATA関東支部で発足した「LADY JATA委員会」は、分科会の最後に旅行会社の経営者層に向けた提言「覚悟と自覚を持って育とう、育てよう 女性の活躍で企業は強くなる!」を発表。委員長を務める阪急交通社CSR推進本部広報部副部長(当時。現在は阪急交通社CSR推進本部広報部長)の斉藤文代氏は「多様化の一途をたどるお客さまのニーズを踏まえ、女性の活躍を推進することは旅行業界にとって有意義なこと。経営戦略の1つにもつながる」と強調した。
提言では「真の女性活躍」を実現するため、「経営者層がおこなうべき制度・仕組みの構築」「各職場での理解・運用の最大化・定着」「女性自身の覚悟・自覚の醸成・浸透」「業界団体として各ステージでのミッション完遂に向けたプロセス支援」の4項目を要望。提言の内容について発表した、副委員長を務めるJTB首都圏執行役員エリア総括部長の白川理恵子氏は、旅行業界では新卒で入社する社員の半数以上が女性であることを説明し、それにも関わらず大手ホールセラー6社では女性管理職の割合が19.1%に留まっていることから「女性の活躍に向けた取り組みは喫緊の課題と考えるべき」と強調した。
経営者層に対しては、意欲や能力の高い女性を結婚、出産、育児などの理由で退職させないため、育児休職や短時間勤務などの多様な制度を整備するよう提案。白川氏は「個々の能力を最大限に発揮できる環境を作ることで、業績の向上にもつながる」と主張した。
各職場においては、多様な働き方を受け入れるために、従来の慣習の見直しを要求。業務内容の「見える化」を推進することで、業務のシェア、ジョブローテーション、短時間勤務がおこないやすくなると話した。
白川氏はこのような制度整備などのハード面だけではなく、育児休職や短時間勤務をおこなう女性自身も「覚悟と自覚が重要」であることを強調。「経営者層や各職場から理解を得るためには、女性自身のこれまでの働き方がポイントになると考えている」と説明した。
そのほか業界団体に対しては、旅行業界全体で「活躍する女性が輝く、ダイバーシティのリーディング業界をめざす」と宣言することを要望。そうすることが業界のダイバーシティ推進や女性の活用の一助になる旨を説明した。
斉藤氏は「女性の活躍は経営者層と職場、女性自身が三位一体となって推進することで実現が可能」と主張。「女性を優遇する制度を設けるのではなく、男性と同等に働くことができる環境を作ることにより、業界を発展させようという意識が重要」と述べ、今後は各職場と女性が「覚悟と自覚を持って育とう、育てようという意識を持つこと」が大切になると強調した。