規制改革会議、民泊で公開ディスカッション、6月に答申

  • 2016年3月14日

一般の傍聴人や報道関係者など約90名が参加した  内閣府の規制改革推進室は3月14日、規制改革会議の一般向け公開ディスカッション「民泊サービスにおける規制改革」を開催した。同会議ではこれまで「地域の空きキャパシティ」などのテーマで公開ディスカッションをおこなったことはあるが、民泊サービスに特化したテーマは今回が初めて。同会議の委員に加え、厚生労働省や全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)、日本ホテル協会、Airbnb Japan、百戦錬磨、新経済連盟の代表者が出席してプレゼンテーションを実施したほか、観光庁など関係省庁の担当者、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全、規制改革、防災)の河野太郎氏、内閣府副大臣の松本文明氏なども出席し、議論に加わった。

規制改革会議議長の岡素之氏  終了後の記者会見で、規制改革会議議長を務める住友商事相談役の岡素之氏は「規制改革のテーマのなかから国民の関心度の高いものを選び、関係者に集まって議論してもらった。結論を急ぐのではなく、論点の整理を目的に実施した」とディスカッションの目的を説明。6月に予定する答申に向け、継続して議論していく方針を示した。なお、観光庁と厚生労働省による「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」が3月中に予定する中間取りまとめの内容については答申に反映させず、規制改革会議として独自に検討を進め、答申を作成するという。

 規制改革会議では昨年6月に取りまとめた「第3次答申」と「規制改革実施計画」で、民泊サービスについては2016年中に結論を得ることを決定。10月以降、同会議や地域活性化ワーキンググループで、関係省庁や関係業界、事業者、有識者などからヒアリングをおこなってきた。12月21日には「民泊サービスの推進に関する意見」を発表し、「関係省庁での検討のスピードアップを求めるとともに、民泊サービス推進に際し抜本的な対応を検討すべき」と提言。サービス提供者や仲介業者に関する規制の検討や、規制の適切な執行体制の確保を求めていた。

 岡氏は今回の公開ディスカッションについては「改めて新しい視点が出てきたとは考えていない」とコメント。地域活性化ワーキンググループで座長を務める中央大学法学科大学院教授の安念潤司氏は、「ホストとゲストの情報非対称」と「第三者に対する『外部不経済』」を2つの大きな課題として挙げた。「ホストとゲストの情報非対称」については、評価の低いホストやゲストを排除できるレーティングシステムで「かなり解消できる」との考え。宿泊施設の周辺住民とのトラブルなどの「第三者への外部不経済」については「ダメージの最小化への決め手が見つかっていない」ことから今後も検討を継続するとした。

 安念氏は、行政が民泊サービスのすべてを直接規制することは難しいとの考えを示した上で、「民間による自主規制がどれだけ機能するのか」が重要と指摘。行政の役割としては、仲介業者の競争環境を保つことで、仲介業者がレーティングシステムを活用して民泊サービスの質を担保できるような環境作りを求めた。

内閣府特命担当大臣の河野太郎氏  この日のディスカッションでは、全旅連が民泊サービスに必要な規制として、訪日外国人観光客のみをサービスの提供対象とし、ホスト不在の宿泊施設でのサービス提供を禁止すること、1物件につき年間最大営業日数を30日とすること、ホストの保健所への届出義務化、罰則規定の設定など9項目を提案。新経済連盟はガイドラインなどを活用して柔軟なかたちで規制し、旅館業法の適用外とすることを提案した。これに対し、参加者からは旅館業法に基づいた規制の必要性を説く意見や、ホストや仲介業者の責任のあり方を問う意見、対象宿泊施設の範囲を問う意見などが挙がった。

 内閣府特命担当大の河野氏は「新しいサービスを旅館業法で規定するのは無理がある」と述べた上で、「今の業法をどうやって無くすのか、変えていくのかという議論もおこなうべきでは」と指摘。既存の旅館やホテルと民泊サービスが共存した上で訪日客の増加をめざしたい考えを示すとともに、「旅館業、ホテル業をいかに発展させていくかという視点も合わせて議論していきたい」と話した。