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JATA、訪日旅行の需要分散や品質向上など提言-リピーター増加も

  • 2016年2月4日

▽訪日市場の多様化や訪問地域・時期の分散を提言、宿泊施設不足などへの対応も

 現状認識や課題を踏まえた具体的な「提言項目」では「需要分散に向けた具体的な施策」「逼迫する供給不足問題への対応」「MI(ミーティング・インセンティブ)需要の開発」「『安心・安全』をはかるための施策」「『品質保証制度』の活用促進」の5項目を掲げた。

 需要分散のための具体的な施策としては、訪日のソースマーケットや訪問地域・時期の分散が重要である旨を提言。ソースマーケットの分散については、主要4市場に加え、東南アジアや欧米豪各国などのさまざまな国・地域から可能な限り均衡に集客するべきである旨を説くとともに、市場の分析と市場ごとに適した情報発信の重要性を指摘。また、中国からのFITリピーターは「今後の訪日外国人旅行市場の主要な顧客層になりうる」ことから、定期的な情報発信が必要とした。

 訪問地域については、ゴールデンルートの人気の理由として、「魅力ある観光素材」「アクセスの充実」「適切な情報発信」の3点を挙げ、他の地域についても3点を戦略的に磨き上げる必要があると指摘した。その上で、地域の観光素材、体験素材の開発や商品化の促進、旅館の利用促進、地域の良さをアピールするための情報発信の方法の提案を重要なポイントとして挙げた。加えて、地域とその地域のゲートウェイとなる空港を一体的に強化する必要性や、地域への二次交通の改善を推進する施策を導入するなど、アクセス利便性を高める施策の必要性も提言した。

 訪問時期については、宿泊施設やバスなどの供給に余裕がある秋や冬を中心に日本の魅力を発信することで、需要の分散化をはかることを提案。オンシーズンにおける閑散地域やオフシーズンの販売促進策が重要であるとした。

 逼迫する供給不足問題への対応に関しては、宿泊施設、バス、通訳案内士の不足について改善策を求めるとともに、「民泊」について言及。「安全・安心」の確保を前提に、民泊を宿泊施設不足を補完するものとして検討するのではなく、時代の変化や市場のニーズに対応し、旅行商品の多様化をはかるという観点で検討を進めることが適当であるとした。

 MI需要の開発については、今後はミーティングとインセンティブ需要の拡大が見込まれるなかで、ユニークベニューの整備と積極的な活用について提言。「安心・安全」をはかるための施策では、訪日旅行および関連地上手配取扱事業者の登録制度の確立や、貸切バスの安全確保のための官民一体の取り組みの必要性を強調した。「品質保証制度」の活用推進については、JATAが導入している「ツアーオペレーター品質認証制度」のさらなる活用促進を国や日本政府観光局(JNTO)の協力のもとでおこなう必要性を説いた。