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ムスリム旅行者獲得に向け「ハラールシンポ」-ツーリズムEXPOで

正しい対応で旅行者の不安軽減を
マーケティングの重要性も

訪日ムスリムは食事と礼拝に不安
受入側はできることから取り組みを

JTBコーポレートセールスグローバルビジネス推進課営業企画マネージャーの石毛照栄氏  JTBコーポレートセールスでハラールマーケット営業企画担当を務める石毛照栄氏は、15年6月にマレーシアとインドネシアのムスリムを対象に、訪日旅行についておこなった調査の結果をもとに、ムスリムの訪日旅行の現状について解説した。

 調査の結果、約80%のムスリムが訪日旅行の際に歯磨き粉やインスタント食品を持参するなど、大半が口にするものに気をつけていることがわかった。また、ホテルの選択時には60%がハラールフードの提供の有無を気にしており、70%が客室内にメッカの方向を指す「キブラマーク」を示す必要性を訴えたという。石毛氏は「こうした不安は訪日旅行を躊躇することに繋がる可能性がある」と述べ、日本国内のムスリムへの対応が遅れている状況に懸念を示した。

 シンポジウム後半のパネルディスカッションでは、これらの課題を踏まえて各氏が、今後の日本における受入環境の整備について議論。レモン氏は国内で流通している食品の成分表示のわかりにくさを指摘し「ムスリムにとって成分表示が理解できない食品は、食べられないものになる」と述べ、ピクトグラムなどを利用したわかりやすい表示が必要だと訴えた。また、「食品の提供者がハラールを正しく理解していなければ、その食品がハラールか否か疑わしくなる可能性がある」と危惧。ムスリムの調理人やスタッフを雇用するなど、サービスを提供する現場にムスリムを関与させることが「どんな認証ロゴよりも有効で安心に繋がる」と強調した。

 スハイミー氏は、宿泊施設や飲食店にハラール専用の調理場を設けることについて「面倒が多いと見えるかもしれないが、さほど難しいことではない」と語り、具体的な方策として使い捨ての食器を利用すること、調理場にパーティションを設置してハラール専用のスペースを設けることなどを提案。参加者に向けて「できることから始めて欲しい」と訴えた。そのほか、日本国内でハラールのインスタント食品の販売を活発化させることも呼びかけた。