JATAと東京都、合同で訪日セミナー開催-官民が意見交換

  • 2015年7月15日

JATA関東支部インバウンド委員会委員長の濱野一哉氏   日本旅行業協会(JATA)の関東支部インバウンド委員会は7月14日、東京都との共催により「JATAインバウンドセミナー」を開催した。旅行会社の若手を含む実務者向けに実施したもので、今回が4回目の開催。JATA関東支部インバウンド委員会委員長の濱野一哉氏は、冒頭で「各方面からの新たな情報を聞き取り、各社の施策に活用していただきたい」と挨拶した。

東京都産業労働局観光部シティーセールス担当課長の前田千歳氏  セミナーでは最初に、東京都産業労働局観光部シティーセールス担当課長の前田千歳氏が「東京のブランディング戦略について」と題したプレゼンテーションを実施。「世界の有力な観光都市では、都市を象徴するイメージを明確化し、長期にわたり発信」している一方で、東京については「旅行地として海外に強く印象づけるイメージが確立されていない」と問題点を指摘し、さらなるブランディングの必要性を強調した。東京都は2014年の外国人旅行者数887万人を、20年には1500万人、24年には1800万人に引き上げる方針。

 東京都は、今後は「人が親切」「治安がいい」「先進的」「衛生的」といったイメージの強みを活かし、「伝統と革新が交差しながら、常に新しいスタイルを生み出し、多様な楽しさを約束する街」として東京を訴求。今年の3月に策定したブランディング戦略に従って、「良質・こだわり」を志向し「今どきのライフスタイル」を追求する層をターゲットに、旅行地として認知度を向上させる。5月には「東京ブランド」のウェブサイトも開設し、関連事業者の取り組みの紹介などを開始したところ。

セミナー風景  関東運輸局で企画観光部国際観光課長を務める神村正巳氏は、これまで関東地方については全国で唯一、訪日旅行に対応した観光広域連携組織がなかったが、今年度からは自治体と関連業界の関係者による連携組織を立ち上げ、本格的な活動を開始したことを説明。中期行動計画と年度ごとの戦略も策定し、東京オリンピックが開催される20年に向け、関東地方の認知度の向上をめざすとした。

 はとバス観光バス事業本部国際事業部の清水学氏は、14年7月から15年6月までに同社のサービスを利用した訪日外国人旅行者数が、約8万4000人にまで増加した旨を報告。取扱規模は日本人旅行者の10分の1程度ではあるものの「伸びしろは大きい」と語り、15年7月からの1年間については、13.1%増の9万5000人をめざす考えを示した。今後も引き続き、商談会や海外の旅行博への出展、パンフレットの配布などによるプロモーション活動に注力するという。

 07年に設立されたNPO法人秋葉原観光推進協会(ATPA)で理事と事務局長を務める泉登美雄氏も、訪日外国人旅行者の取り込みに向けた活動について発表。10年から開始した「秋葉原おもてなしプロジェクト」や、海外の博覧会への出展などについて説明するとともに、14年春から定期的に開催している一般向けイベント「秋フェス」についても紹介し、旅行会社とのコラボレーションを呼びかけた。

JATA本部・訪日旅行推進部部長の中尾謙吉氏  JATA本部・訪日旅行推進部部長の中尾謙吉氏は閉会の挨拶で、JATAが「東京プラス1」を基本的な考え方として、訪日外国人旅行者の地方分散に向けた取り組みを進めていることを説明。訪日旅行における東京の重要性を示すとともに、参加者に協力を求めた。

※訂正案内(編集部 2015年7月23日 12時10分)
・訂正箇所:第4段落第1文
誤:上村正巳氏

正:神村正巳氏
お詫びするとともに訂正いたします。