JTB、ITベンチャーのアソビューと資本業務提携、着地型商品強化

  • 2015年4月22日

アソビュー代表取締役の山野氏(左)とJTBグループ本社執行役員の古野浩樹氏 ジェイティービー(JTB)は4月22日、2012年から国内の体験型商品予約サイト「asoview!」を運営するITベンチャー企業のアソビューと、着地型商品の開発・販売に関する包括的業務提携を締結したことを発表した。JTBグループがITベンチャー企業に資本参加するのは今回が初めて。

 アソビューは全国の2700近い事業者と提携して、約6000種の野外アクティビティーや地域文化体験プログラムの予約サービスを提供しており、JTBはアソビューのコンテンツ開発力を新たな武器として、着地型商品の取扱強化をはかる。両者は今後、相互に商品提供などをおこなう予定。

 JTBグループは、現在推進しているDMC(デスティネーションマネジメントカンパニー)戦略の取り組みの一環として、今回の提携を実施。着地型商品ではアソビューと連携することにより、地域の観光資源を掘りおこすとともに、高付加価値化や差別化などに取り組む。

 具体的には、JTBウェブサイトおよび「るるぶトラベル」とasoview!の間における相互商品提供、地方自治体や観光協会向けのプロモーションの共同提案、訪日旅行予約サイト「JAPANiCAN.com」におけるasoview!コンテンツの販売、企業向けの体験型研修事業やプロモーション事業の提案、JTBベネフィットが運営する会員制福利厚生サービス「えらべる倶楽部」におけるasoview!コンテンツの提供などをおこなう。

会見の終了後には、陶芸作家の瀬川辰馬氏の指導のもと、古野氏と山野氏が陶器作りに取り組んだ 同日に開催した共同記者会見で、JTBグループ本社執行役員旅行事業本部副本部長の古野浩樹氏は、同グループのこれまでの着地型商品の開発については、「JTB国内企画などで開発に取り組んできたが、オプショナルツアーやイベントなどが中心だった」と述べ、地域文化体験などに関するアクティビティーについては「不十分だった感が否めない」と説明。今後はアソビューの「圧倒的なラインナップの開発スピードや、ウェブ販売のノウハウ」の力を借りて、「一気に着地型商品のマーケットとプラットフォームを押さえたい」と意欲を示した。

 アソビュー代表取締役の山野智久氏は、「インターネットの発達によって個人旅行はしやすくなったが、宿泊や移動などとは違い、旅行先での『遊び』については抜け落ちている」と現在の市場を分析。「圧倒的な信頼と歴史を持つナンバーワン企業」のJTBグループと提携することにより、「旅ナカ市場のIT革命」を起こしたい意向を示した。今後は国内での基礎固めをおこなったのち、海外市場への展開もめざす考え。

 アソビューはこのほど、JTB、YJキャピタル、グロービス・キャピタル・パートナーズ、ジャフコを引受先とする総額約6億円の第三者割当増資を実施。古野氏によればこのうちJTBグループの出資額は「数億円」で、アソビュー資本金に占める割合も数%にとどまるという。なお、今回の業務提携では、JTBグループからの役員派遣はおこなわず、古野氏は「アソビューの良さを拡大したい」、山野氏は「アソビューの独立性は保たれる」とコメントした。アソビューは今年8月までに、コンテンツ数を1万にまで拡大したい考え。

 なお、本誌の取材に応じた山野氏は、「創業当初は独立独歩での運営を考えていた」ものの、JTBグループの規模やネットワーク力に魅力を感じたことから、今回の業務提携に合意したと説明。今後の展開については「株式公開の可能性もあれば、JTBグループ入りの可能性もある。環境の変化に柔軟に対応したい」との考えを示した。