訪日向け「国際おもてなし認証」制度開始、サービス事業対象に

 日本ホスピタリティ推進協会(JHMA)は「国際おもてなし認証制度」を発足し、4月から認証受付を開始する。同制度は訪日外国人を中心した顧客に的確なホスピタリティを実践している店舗や施設を認証するもの。サービス業が対象で、1年目で100施設、3年目で500施設、2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでは1000施設の認定をめざす。

 制度では応募店舗・施設のコンサルティングなどをおこない、一連の認証制度を通して国際的なホスピタリティ・マインドの醸成をめざす。ドン・キホーテグループのジャパンインバウンドソリューションズ(JIS)や、覆面調査を手がけるMS&Consulting、高島屋グループで人材サービスを提供するセンチュリーアンドカンパニーとの協力のもと、認証制度を進めていく。

 3月4日の記者会見で、JHMA理事長の斎藤敏一氏は、認証制度により「グローバル・ホスピタリティを学んでいただくことを第一義に掲げたい」と説明。JIS代表取締役社長の中村好明氏も、認証制度を「日本のおもてなしの大きな基盤になることをめざしたい」と意気込みを語った。

 認証対象施設は、JHMAの「グローバル・ホスピタリティ・コーディネータ(GHC)」資格取得者、もしくはGHC資格取得者による講習を受けた「グローバル・ホスピタリティ・アソシエイト(GHA)」が最低1名在籍していることが条件。GHCはJHMAの「ホスピタリティ・コーディネータ(HC)」の訪日観光対応版として今回新設する制度で、HC資格取得者が対象。3月14日から募集を開始する。HCは2日、GHCは1日、GHAは半日から1日ほどで取得できる。なお、現在HC資格取得者は900名で、うち100名が宿泊業を中心とした旅行業関係者だという。

 資格制度の対象となる業種は宿泊、飲食、小売、交通、娯楽、公的サービスなど幅広く設定。旅行会社に対しては「地域でその地域のご案内をするような旅行会社はありうるが、東京で募集し、地域に連れていくというような旅行会社は対象に含んでいない」(斎藤氏)という。また、対象となるのは企業ではなく、店舗、施設レベルとした。

 申請はエントリーシートで受け付ける。プレ審査として、JISなどの専門家からなる専門審査員がおもてなしの実践状況を点検・確認し、施設側にフィードバックをおこなう。その後、外国人の覆面調査員が英語での覆面調査を実施。レポートを受けて施設が改善の取り組みなどをおこなったのち、専門審査員が本審査として、従業員インタビューや聞き取り調査を実施する。本審査で一定の基準を満たせば認証される。施設には認証の盾を贈る予定だ。また、オプションサービスとして、接客支援ツールの紹介やコンサルティングサービスも実施する。実施費用は1店舗・施設ごとに8万8000円。2年に1度3万円の更新費用が必要だ。

 センチュリーアンドカンパニー インフォメーション・研修事業本部長の今野友佳子氏は、審査のポイントは「日本人と同じように外国人をお迎えできるか」であると説明。ある程度の語学は必要だが、接客支援ツールを活用することでコミュニケーションは可能とし、「おもてなしのためのマインドを店舗の中で育てていってほしい」と語った。

 まずは東京で店舗・施設ごとの認証に取り組み、大阪や九州などに広げていきたい考え。将来的には地域単位での認証もおこなっていく。具体的な単位は未定だが、認証希望地域・団体などからの要望にこたえられるようにしたいという。

 認証した店舗・施設についてはウェブサイトで紹介。海外向けの制度の認知度向上策としてインターネットを活用するほか、認定店舗・施設自体の海外への情報訴求にも期待を寄せる。また、経済産業省や観光庁、文部科学省などに対しても制度の説明をおこなっており、引き続き国内外でのアピールをおこなっていくという。