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おもてなしはまず行動、プラスアルファのサービスでリピーター化を

  • 2015年2月24日

おもてなしは「想って成す」 顧客情報をサービスに活用
事業範囲の拡大も

プラスアルファのサービスで「商売の土俵替え」
リピーターを意識したおもてなしを

講演会には多くの宿泊施設から担当者が参加した  さらに、西川氏は宿泊施設に対し、「商売の土俵替え」の必要性を説いた。例としてMKタクシーを紹介。電話で明日の朝何時に来てほしい、と頼む時、MKタクシーでは誰が何名乗車するか、どこに行くのかを聞き、例えば伊丹空港だった場合、乗る便は何時かまでも質問する。さらに、当日の道路事情を踏まえ、道が混んでいる場合は出発時間を早める電話を事前に連絡することを提案するという。西川氏は「(通常のタクシー業務で)行き先まで送るのではなく、予定のフライトにお客様を乗せるところまで責務を追わないといけない、それが(MKタクシーの)ビジネス」と語った。

 加えて、西川はザ・リッツ・カールトンの例を紹介。リッツ・カールトンでズボンプレッサーを頼んだところ、次回以降の宿泊では常に部屋にズボンプレッサーが置いてあるようになったという。同氏は「今日泊まった宿泊者は2度と来ないお客様ではなく、また来てくれる」顧客であると常に考え、宿泊者の部屋の利用の仕方をデータベースに残し、次回は前回以上の感動を届けるという気持ちで迎えてほしいと述べた。

 ただし、こういうサービスはどこの宿泊施設でもできるわけではないとの意見もある。ある旅館からは「1泊当たりの単価が7万円のリッツ・カールトンと1泊1万5000円のうちを一緒にしてほしくない」「1泊7万円にしたら誰も来なくなる」という声があったという。それに対し、西川氏は「1泊7万円にしたら誰も来ない、というのは誰が決めたのか」と反論。「7万円で、笑顔で喜ばれるサービスをしたほうが、楽しくサービスを考えられるのではないか。戦う土俵を変えたら、新しいビジネスが目の前に見える」と話した。

 また、以前リッツ・カールトン東京に宿泊した時、案内をしてくれたスタッフに「たまには東京タワー側の部屋に泊まりたい」と言ったところ、その場で東京タワー側の部屋の空きを確認し、手配してくれた。東京タワー側は追加料金がかかる。内心少し落ち込んでいたところ、案内してくれたスタッフが「東京タワー見えて良かったですね!」とはしゃいでくれたおかげで、気持ちが明るくなり、追加料金を払っても良かったと思わせたという。こうした経験を踏まえ、西川氏は「人は人にしかリピートしない。お客様からいただいたたった1度の偶然のチャンスを必然に変えられるのは人しかいない」と人材育成の重要性を説いた。