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第1回通訳案内士制度のあり方検討会開催-15年7月に最終まとめ

  • 2014年12月25日

▽参加者から課題指摘-来年7月に最終取りまとめ、アクション・プログラムへ

松本大学総合経営学部観光ホスピタリティ学科教授の佐藤博康氏  検討会の後半には、参加者1人1人から今後の課題や論点についてのコメントがなされた。行政側からは、資格取得後のスキルアップのための仕組みづくり、通訳案内士不足に対する課題、通訳案内士の資格が必要な場面がわかるような明確な基準の設定などの意見が出されるとともに、市場のニーズを分析し、適正な料金や質などを探るべきとの声も上がった。

 旅行業界からは通訳案内士不足に加え、就業率の低さの改善、地方の通訳案内士不足や多言語対応が可能な人材の不足、海外在住者が資格を取りやすい仕組みづくり、通訳案内士と訪日外客とのマッチングの必要性などを指摘する声が出された。出席者からは欧米からの訪日外客は建築や祭りなどに関する深い知識を求めるが、東南アジアからは歴史や文化などよりも今の日本の流行や買い物スポットなどの情報を求めるニーズが多いとの例も話された。

 一方、通訳案内士やボランティアガイド団体からは、現状人材は余っており、特に地方からは仕事不足を嘆く声が現場から出ているとし、旅行業界側との矛盾を指摘する場面もあった。また、通訳案内士の質の確保が重要とし、質の高い資格取得者が訪日外客に高品質なサービスを提供することが、リピーター化、ひいては2000万人達成につながるとの声が出された。このほか、ボランティアガイドや地域限定通訳案内士が地方で点として活躍し、通訳案内士が線として全体を補うなど、うまく棲み分けて観光立国実現をめざそうという意見もあった。

 今後は来年1月から2月に計5回の検討会を開催。第2回、3回は通訳案内士団体やボランティアガイド団体、第4回、5回は旅行業界、経済団体、第6回は地方公共団体、JNTOから、幅広く現状や課題に関する意見を求めていく計画だ。メンバー以外の臨時委員も招いて議論を進めていく。

 3月には第7回を開催し、ヒアリングの結果をまとめて短期、中長期的に解決すべき課題や論点を整理。4月から5月に改善策について議論を実施し、6月に中間とりまとめを発表し、交通政策審議会の観光分科会に報告する。最終的な取りまとめを7月におこない、内容を「観光立国実現に向けたアクション・プログラム2015」に盛り込む計画だ。なお、次回は1月20日に中国語、韓国語の通訳案内士を招いて開催する。