観光地の自主財源確保で意見交換、入湯税など有効活用提言-JTBFシンポ

  • 2014年11月10日

JTBF理事兼観光政策研究部長の梅川智也氏  日本交通公社(JTBF)は、このほど第24回の「旅行動向シンポジウム」を開催し、地方自治体や観光プロモーション団体、旅行会社などの代表者による「研究セッション」として、「観光推進組織の事業と財源-自立的運営に向けて」を開催した。阿寒湖温泉、鳥羽温泉、由布院温泉など7つの温泉地とJTBFで構成する「温泉まちづくり研究会」の協力によるもので、参加者は観光プロモーション団体の役割や位置づけ、必要な財源の捻出方法などに関して意見交換をおこなった。

 コーディネーターを務めたJTBF理事兼観光政策研究部長の梅川智也氏は冒頭の挨拶で、同セッションにつけられたタイトルについて言及し、「現状は自律的な運営がなされていない」と総括。「事業については過去からの継続。財源についても行政からの補助金や委託金が中心で、民間からの収入は少ない」と問題視し、観光推進組織の役割を改めて地域で議論し、必要な財源の捻出方法を検討する必要があるとした。

JTBF観光政策研究部次長主席研究員の塩谷英生氏  「観光財源を考える-自治体の観光財源の現況と自主財源-」と題した研究報告をおこなった、JTBF観光政策研究部次長主席研究員の塩谷英生氏は、1995年以降、都道府県の観光費が急速に減少し、2005年以降は横ばい状態にある状況について説明するとともに、観光費が各自治体の財政状況に大きく影響されていることについて危機感を示した。また、一方では国の観光関連予算が上昇傾向にあることから、国の補助金への依存が進む傾向についても問題視した。

 塩谷氏は、鉱泉浴場を有する市町村が入湯客に課している、目的税の地方税である「入湯税」については、減少傾向にはあるものの安定した財源確保につながると説明。しかしそのような財源が入湯税以外になく、国の交付税交付金に交流人口や観光客に関する指標がないこと、観光事業者が増えて固定資産税などが増えても、入湯税は普通税として一般財源に取り込まれるため、その地区には重点支出されないことなどを不安視した。

 今後の改善策としては、河口湖町が導入している「遊漁税」など法定外税の導入例や、地方自治法分担金制度の活用例などを紹介。「安定的・自律的な財源の確保」に向け、観光地が自ら中長期的なビジョンや計画を示す必要性があるとした。

JTBF観光政策研究部主席研究員の吉澤清良氏  「温泉地における安定的なまちづくり財源-入湯税を中心に」と題した研究報告をおこなった、JTBF観光政策研究部主席研究員の吉澤清良氏は、入湯税の現状などについて解説。市町村税であることから税額や減免措置などはそれぞれの自治体で異なることや、目的税でありながらも必ずしも観光振興に活用されていない現況などについて述べた。

 その上で、入湯税の使途については市町村に情報公開を求めること、入湯税の地元への還元に向け「観光まちづくり」への配分を高めるよう要望することなどを、「温泉まちづくり研究会」からの提言として発表。吉澤氏は「入湯税を観光まちづくり財源の1つとして、有効活用する機運を全国的に高めたい」とし、既に釧路市議会では基本的方向について了承されたことを報告した。

 セッション後半には30名の参加者が、「阿寒湖・ニセコ」「鳥羽市」「由布市」の3グループに分かれてグループディスカッションを実施した。阿寒湖・ニセコは「入湯税の超過課税とBID(ビジネス改善地区)」、鳥羽市は「入湯税の基金化」、由布市は「観光新組織」のテーマに沿って、それぞれ意見や情報の交換をおこなった。