着地型観光を考える-鹿児島県旅行業2団体・セミナー(1) どうなる旅行業

 一般社団法人鹿児島県旅行業協会(中間幹夫会長)と鹿児島県旅行業協同組合(同理事長)は7月7-8日の2日間、鹿児島市内のホテルで第1回着地型観光セミナーを開いた。2010年から県観光課の支援を得て取り組んできた着地型観光を総括し、独自の着地型観光ブランド「魅旅(みたび)」のステップアップを図ろうと初めて開催した。鹿児島県内をはじめ九州各地、全国から観光関係者380人が参加した。

地域一体の取り組みを

 セミナーでは、はじめに弁護士の三浦雅生さんが「どうなる これからの旅行業」と題して記念講演を行った。海外OTAの台頭、着地型旅行の販売拡大など旅行業を取り巻く現状を紹介し、旅行業法の改正や旅行業約款の見直しなどについて話した。

 一連の話の中で、三浦さんは観光庁の人事に関して「目まぐるしく替わってしまう。専門職として取り組まないと、なかなか先に進みません」と苦言を呈した。

 午後からは4つの分科会に分かれてパネルディスカッションが行われた。「グリーン・ツーリズム活用による国内旅行活性化」「着地型観光に取り組む先進地域」「インバウンドと着地型観光」「地域づくりと着地型観光の推進について」。いずれも熱心な意見交換が行われ、地域と一体となって着地型観光に取り組む必要性などの指摘があった。

 さらに、トラベルニュースat本紙連載「NATO廃絶」でおなじみの山田桂一郎さんが「選ばれ続ける地域とは」をテーマに講演した。山田さんは、着地型観光を販売する上で安値による集客を否定し、ピラミッド型のマーケットモデルを示した。「ねらうべきはピラミッドの頂点です」とし最上位に位置する富裕層をターゲットにすることで底辺が広がり、結果的にマーケットが拡大すると話した。「海外のお客様も意識して取り組むことが大切です」と呼びかけた。

 中間理事長は、今回のセミナー開催に手応えを感じ、来年もセミナーを開催する。「着地型観光に携わる官民を問わず意識を高め、2年後にはANTAの国内観光活性化フォーラムを鹿児島県で開催したい」と意欲を示した。


情報提供:トラベルニュース社