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現地レポート:MSCプレチオーサのベネツィア発着・東地中海クルーズ

  • 2014年6月19日

イタリア客船のMSCクルーズで地中海旅行
カジュアル客船の受け皿の広さで新しいヨーロッパ商品としての取扱いを

客船と乗客がつくる外国の雰囲気
家族でのんびり、女子旅、卒業旅行での利用も

プールサイドバーでドリンクを買い、泳いだり、日光浴をして、何もしない贅沢を楽しむ

 今回の乗客の国籍はアメリカ、ドイツ、イタリア、そして前シーズンに配船した南米からの移動クルーズで乗船してきたブラジル人も多く、陽気な雰囲気。バカンス慣れしている旅行者が多く、昼間はプールサイドでのんびりと日光浴。ディナーはセカンドシーティングを選び、そのまま深夜までパーティを楽しむ。クラフトやエクササイズの船内イベントは4800名以上の乗客数の割に参加者は少ないが、日本人は必ずと言っていいほど誰かしらが参加している。

子ども向けイベント「キッズシェフ」は大盛況。思った以上に多くの家族客がいることに驚く。MSCのキャラクター「ドレミ」が盛り上げる

 ドレスコードはそこまで厳密ではない。MSCクルーズと同じカジュアルクラスで別の外国船の日本発着クルーズに乗船したことがあるが、日本人の多いクルーズとはまた違った印象だ。フォーマルの日も華やかさを少しプラスした装いという程度で気負いがない。特別な用意が少なくて済むのは、荷物の運搬が必要なフライ&クルーズでは快適だ。

スポーツバーではセリエAを中心にスポーツを放映。ワールドカップの試合も。隣のボウリングコーナーはティーンに人気

 また、海外のクルーズ客の年齢は幅広く、幼稚園から小学生の子供を連れたファミリーが多かったのも印象的だった。夏はもっと増えるといい、MSCクルーズではキッズルームや子供向けプール、ティーンズディスコ、ボウリングなど、幅広い年齢の子供が楽しめる施設も充実している。保護者に同行する子供の割引施策(MSCの場合は2人の保護者に対し18歳未満の子供を無料)は、MSCクルーズが最初に実施したという。

日本人乗務員が日本人向けに下船案内を実施。クルーズ中にも時々、日本語ホスピタリティデスクを設け、相談に応じる

 MSCクルーズでは今夏、MSCプレチオーサをはじめ5客船に日本人乗務員を乗船させている。今回乗船していた日本人コーディネーターの佐々木智子さんによると、日本人の家族客も増えている。欧州の駐在者が夏休みに家族旅行で利用することが多く、昨年は400名の日本人が乗船した船もあった。子供たちは語学力を気にせず、積極的にキッズクラブや子供向けのアクティビティに参加するといい、国際体験の良い機会にもなりそうだ。

アート&クラフトの船内イベント。イタリアカラーのペーパーコサージュは、「イタリアンナイトの時に使えたのよ」と日本人参加者

 このほか、クルーズが初めての人も増加傾向だという。「MSCクルーズを楽しむコツは?」と問うと、「イタリアのカジュアル客船らしい雰囲気、サービスを楽しんでほしい」と佐々木さん。日本ではどの船でも “豪華客船”のイメージが強いが、クルーズにはそれぞれの違いがある。MSCクルーズでは、肩肘張らないイタリアンホスピタリティを楽しみたい。

船内イベントはスタッフと接する絶好の機会。イータリーのクッキング実演では、その場でレストラン予約をした人に割引特典も提供

 リピーターが主流だったクルーズに、新しい市場が入り始めている。MSCクルーズでも新客層へのアピールを強めており、女性誌のほか、SSCナポリやACミランなどセリエAクラブのスポンサーであることを切り口にサッカー専門誌とタイアップし、若年層の市場にも切り込む。デスティネーションの多様さやコストパフォーマンスを考えると、冬は卒業旅行もターゲットに入る。MSCヨットクラブはハネムーンにもお勧めだ。

 クルーズの垣根はすでに消費者側が低くなっており、旅行会社も消費者目線で販売をする時期に来ている。同時に、客船会社にとっても日本人のファンを作る絶好期であり、旅行会社・船会社双方にとって勝負の時期であるといえるだろう。



取材協力:MSCクルーズ、アリタリア-イタリア航空(AZ)
取材:山田紀子



人気のビジネスクラス・プレミアムエコノミー
「もうエコノミーには戻れない」の感想も

親しみのあるイタリアンホスピタリティ

 アリタリア-イタリア航空(AZ)の成田/ベネツィア線は日本出発が水・金曜日、現地発が木・土曜日の運航で、毎週土曜日出航のMSCプレチオーサ・ベネツィア発着クルーズにあわせやすい。運航機材はボーイングB777型機で、座席数はビジネスクラス(マニフィカクラス)30席、プレミアム・エコノミー(クラシカクラス)24席、エコノミークラスが239席の計293席だ。

自慢の料理はワインとともに

 ビジネスクラスの座席は1-2-1の配列で、ゆったりとした空間。丁寧ながらも親しみのあるサービスで提供される食事は、自慢のワインとともに味わいたい。水平180度のフルフラットになるシートで、往路なら旅先に思いを馳せ、復路は体験した思い出を振り返りつつ就寝すれば、旅の印象をさらに深めてくれるだろう。一方のプレミアム・エコノミーは座面が革製のシェル型シートでパーソナルスペースが確保され、ゆとりが感じられる。

プレミアムエコノミーはシェル型シートでフットレストもある

 このところ、旅行会社のツアーではビジネスクラス利用やプレミアムクラス利用の専用商品が人気だという。それを示すように、復路のベネツィア発のビジネスクラス、プレミアム・エコノミーはほぼ満席。成田へのロングフライトを終え、降機の際に「本当に快適だった。これからはビジネスクラスしか考えられない」と嬉々として感想を言い合う、シニアのグループ客の姿が印象的だった。