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JTBWV、FIT向け新商品「一定の成果」、認知向上などで増販へ

  • 2014年5月19日

JTBWV代表取締役社長の井上聡氏 このほどJTBワールドバケーションズ(JTBWV)代表取締役社長に就任した井上聡氏は、5月14日に開催されたツーリズム促進協議会(TICS)のメンバーズセミナーで、FIT層に向けた取り組みを強化していく考えを示した。

 JTBWVでは2014年度、FIT層をターゲットとしてパッケージツアー「私だけの旅」とダイナミックパッケージ(DP)「エアホ」を新設しているが、「一定の成果が出た」という。今後も、「海外旅行のパッケージ(造成)会社として、パッケージの良さを備えつつ、FITの方々にも受け入れて頂ける商品を提供していきたい」と意欲的だ。

 井上氏によると、2012年の日本人出国者数1849万人のうち、観光目的は72.4%の1338万6000人で、このうちパッケージツアーは58.1%の777万7000人、FIT層は39.6%の530万1000人との分析。FIT層のうち、航空券とホテルのみを手配する旅行者は90%の477万1000人という。井上氏は傾向として1960年から65年生まれの「新人類」や団塊ジュニア世代を中心にFIT層が拡大しているとし、今後更なる増加が見込めるとの予想を示した。

 「私だけの旅」は添乗員付きのパッケージツアーだが、観光や食事を選択可能にすることでFITの自由度も提供するもの。「次世代の熟年のFIT志向に対応していく」ねらいで、JTB広報室によると現状の取扱状況は5月14日現在で販売人員が364名、販売額は約2億8500万円、平均単価は78万3000円。参加者からも好評で、ヨーロッパ1都市、または2都市滞在型コースが人気だ。FIT層に加え、リピーターの獲得にも一定の成果があったという。

 ガイドの経費や人件費がかさむためツアー原価と収益のバランスが取りにくく現状では赤字だが、各出発日ごとに「もう少し参加人数が増えれば収益を確保できるようになる」という。今後は更なる認知向上をはかるとともに、選択可能な観光、食事プランを拡充していく方針だ。

 また、「私だけの旅」は現在店頭販売がメインだが、あらかじめ観光や食事を選択してから店頭で申し込む顧客もいることから、今後はウェブサイト上での予約の利便性向上も検討していくという。

 一方「エアホ」はDPながらルックJTB専用ラウンジやバスなどのサービスを提供するもので、一部不泊や中抜き宿泊なども可能。5月14日現在の販売人員は657名、販売額約1億1500万円で、平均単価は27万5000円。ゴールデンウィークや夏休みなどピーク期周辺のリゾート方面が人気だ。店頭でも受付を実施しており、店頭販売の拡大にも寄与したという。

 今後の課題は、価格変動への機敏な対応、航空会社やホテルなどの選択肢の拡充、商品の認知度向上とラインナップの充実。今年は5000人が目標だが、認知度拡大により「早い段階で、できれば10万人をめざしたい」(井上氏)という。方面ではリゾートに加え都市の販売拡大もめざしていく。